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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百二十三話 お餅つきその一

                第三百二十三話  お餅つき
 二十九日は八条荘に帰ると何もなかった、だが三十日僕は八条家の本邸巨大な宮殿を思わせるお屋敷に入った。
 ベルサイユ宮殿みたいな洋館だ、そこに入るとだった。
 すぐにあるメイドの人ににこりと笑って言われた。
「もう用意は出来ていますから」
「だからですね」
「義和様もお庭に」
「毎年やってますしね」
「はい、明日は大晦日で」
 そしてだ。
「今日はお餅つきです」
「それですよね」
「八条家のならわしですから」
「そうですよね、新年のお餅をつく」 
 このことがだ。
「うちのしきたりですからね」
「大掃除もしまして」
 八条荘でもした、畑中さん達が驚くべき速さで全部してくれた。
「そしてです」
「最後はですね」
「お餅つきです」
「それをして」
「後は大晦日です」
「それで今日はですね」
 メイドさん、黒髪ロングの髪の毛と切れ長の目が如何にも大和撫子なその人に応えた。この人の名前は長田さんといって代々八条家に仕えてくれている人の一人だ。
「お餅つきで」
「義和様もつかれますね」
「つかないと」
 それこそとだ、僕は答えた。
「何か一年が終わらないです」
「そんな気がしますか」
「毎年していますから」
 それこそ子供の頃からだ。
「ですから」
「そうですね、では」
「はい、お庭にですね」
「出て行かれて下さい、もう皆さん集まっておられます」
 一族の人達もというのだ。
「ですから」
「僕もですね」
「つかれて下さい」
「わかりました」
「それで止様も」
「親父もですか」
「先程来られました」
 そうだったというのだ。
「それで、です」
「ついたんですか」
「はい、お餅を一つ分つかれて」
 臼の中のそれをというのだ。
「それで奥様と一緒に京都に行かれました」
「今日は京都ですか」
「京都に行かれて」
 そしてというのだ。
「あちらで楽しまれるとか」
「寒いのに」
 冬の京都はだ、今日とは夏は暑くて冬は寒い。盆地なのでどうしてもそうした気候になってしまうのだ。
「それでもですか」
「はい、お二人で」
「美味しいもの食べに行くんですね」
「南禅寺の湯豆腐をと言われていました」
「そうですか、親父は今日も親父ですね」
 思わず笑ってしまった。
「それでそろそろですよね」
「イタリアに戻られると言われてました」
「そうですよね、けれどお袋が一緒だと」
 あの破天荒な親父もだ。
「お酒は飲んでも」
「女の方とはですね」
「遊ばないですからね」
 このことはいいことだと思う。 
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