八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十一話 戻って話してその十一
「吉本隆明もです」
「戦後最大の思想家って呼ばれていたんですね」
「左様です」
「どうにもならない世界だったからですか」
「どうにもならない輩がそう言われていたのです」
「酷い話ですね」
「私は戦争が終わってからずっと見てきました」
日本の知識人達の腐敗をというのだ。
「経済は繁栄しましたが」
「知識人はですか」
「腐る一方でした」
「マスコミもですね」
「はい、その二つの世界は結託し」
「一緒に腐っていってですね」
「今に至ります」
そうだというのだ。
「ですから今です」
「ネットに負けているんですね」
「嘘を言い反省しないなら」
そして悪事を重ね続けるならだ。
「それは必然です」
「皆テレビを観なくなるんですね」
「かつてテレビを観ると愚かになると言われましたが」
だから勉強しろという論理だったか。
「事実になりました」
「おかしな情報を鵜呑みにして」
「本当に愚かになります」
「騙されて」
「騙す方が悪いですが」
詐欺師に罪があることは紛れもない事実だ。
「ですが騙される方にもです」
「責任がありますね」
「はい」
まさにというのだ。
「そうなりますので」
「だからですね」
「テレビは何の警戒もなくしてです」
「観るものじゃないですね」
「情報を歪曲して偏向し捏造までして流すので」
もうそれはまともな情報じゃない。
「そして必要な情報もです」
「流さないですね」
「不安を煽るばかりですから」
それ故にというのだ。
「不用意に観てはいけないです」
「新聞よりも遥かに」
「目と耳から同時に頭に直接入るのですから」
それだけにというのだ。
「まことに危険です」
「その二つから一度は本当に強いですね」
「映画もそうですが」
「映画は映画館でないと観られないです」
「しかしテレビは今はまずどのお家にもあります」
「ないお家があっても」
それでもだ。
「その方が珍しい位ですね」
「左様ですね」
「今では」
高度成長期は高価だったけれどそれが一気に広まった。昭和四十年頃にはもう殆どの家にあった位だ。
「そうなりましたので」
「もう誰でも観ますね」
「だから尚更なのです」
「危険で」
「注意しなければ」
「本当に騙されますね」
「それが怖いので」
それでというのだ。
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