恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百五話 ガルフォード、駆けるのことその三
すぐにそこから立ち直りだ。こう二人に言い返した。
「どうしてここに」
「あたし達は神出鬼没よ」
「瞬間移動もできるのよ」
そうだというのだ。
「この世界で言う縮地法ね」
「それができるのよ」
「まさか。それで」
「ええ。しかも千里眼に地獄耳だから」
「こうしたことは全然平気よ」
まさにだ。怪物の如き能力である。
そしてその能力を使ってだ。出て来てだというのだ。
「わかったわね」
「じゃあ今からね」
「行けっていうんだな」
あらためて尋ねるガルフォードだった。
「俺に」
「そうよ」
「だから早くね」
二人の言葉を聞いてだ。ガルフォードも。
すぐにだ。頷いてだ。パピィ達に対して言った。
「それならな」
「ワン!」
「あたし達なら大丈夫だから」
「例えどんな相手でも」
いけるというのだ。こう言ってガルフォード達を行かせたのだった。
ガルフォードは駆ける。しかしその前にまた。
今度はだ。バイスとマチュアだった。
「生憎だけれどね」
「まだいるのよ」
こう言ってだ。ガルフォードの前に出て来てだ。
そうして前を遮ろうとする。だがだった。
ここでもだ。彼等が出て来たのだった。
「何っ!?」
「まさか御前達が!」
「そうだ。気が向いてだ」
「私は騎士道に従ったまでのこと」
ギースとクラウザーだった。二人がバイスとマチュアの前に出て来たのだ。
そのうえでだ。彼等もガルフォードに話す。
「さて、ここは我々に任せてだ」
「先に行くのだ」
「あんた達もそれでいいんだな」
「私は狼としてこの連中と戦う」
「私もそうなるだろう」
二人はだ。自分達を狼だというのだ。
その狼がだ。青い忍者に言う。
「狼は己を認める者の為に戦う」
「それはわかるな」
「華陀さんか」
「あの者。大器だ」
「必ずこの世を救う」
二人にはわかっていた。華陀の器とその果たすことを。
その為だ。彼等もまた。
「面白い。乗ろう」
「そうさせてもらう」
「そうか。じゃあ頼んだ」
ガルフォードは彼等の言葉も受けてだった。
前に進みだ。一気に駆ける。すると。
その横にだ。今度は。
華陀だった。彼はガルフォードの横に来たのだ。
恐ろしい速さだった。忍者と同じ速さだ。その速さを見てだ。
ガルフォードもだ。驚きを隠せない顔で彼に尋ねた。
「あんたが出て来たのはいいが」
「この速さで駆けていることか」
「それはどうしてできるんだ?」
問うのはこのことだった。
「よかったら教えてくれないか?」
「医術だ」
それを使ってだというのだ。
「足に針を打てばだ」
「速く走られるのか」
「そのツボを刺した」
そうしてだというのだ。
「これを使えば僅かな時間だが」
「速く走られるんだな」
「馬も超える速さだ」
「成程な。それは凄いな」
「それをあんたに話す為にここに来た」
華陀はその事情も話した。
「今こうしてだ」
「そうか。じゃあ悪いがな」
「刺すな」
「頼む」
ガルフォードの返答は即座にだった。そうしてだ。
その速さでだ。華陀も。
黄金の針を出してだ。その針を。
ページ上へ戻る