八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十一話 戻って話してその三
「どれだけの損失か」
「日本の野球にとって」
「そう思いました、ですが死んだ人は帰って来ないです」
このことは絶対のことだ、こればかりはどうにもならない。
「決して」
「左様ですね」
「残った人達の野球を観ました」
「そうされましたか」
「生きている人達のそれを」
「それはよかったですね」
「亡くなった人もいれば戻って来てくれた人達もいました」
景浦、沢村といった掛け替えのない人達が去ってしまったことはどうにもならない事実としてもだ。
「だから私もです」
「再び野球をですか」
「観ました、その頃日本は何もかもがなくなっていましたが」
それでもというのだ。
「私は必ず復興出来るとです」
「思われていましたか」
「確かに」
そうだったというのだ。
「そして実際にです」
「復興しましたね」
「有り難いことに。震災でもそうでしたし」
「阪神大震災ですね」
「あの地震でも神戸は廃墟になりました」
空襲の時と同じくだ。
「ですがそれからも復興しましたし」
「あの時もでしたか」
「はい、むしろ私はあの戦争から復興したのですから」
それならというのだ。
「この震災もです」
「復興出来ると」
「思っていました、そして実際に」
「復興したのですね」
「はい、人の力は神には及ばないですが素晴らしいです」
小野さんにこうも話した。
「私はそう思います」
「そうですね、小さいですが凄いことが出来ますね」
「はい、人は確かに小さいですが」
畑中さんは僕にも話してくれた。
「素晴らしいこともです」
「出来ますね」
「はい」
「そうですよね、親父にしても沢山の人を救ってますし」
医師としてだ。
「人間はそうしたことも出来ますね」
「左様です」
「そうですよね」
「人は醜くもあり」
「そして美しくもありますね」
「そうなのです、そして止様は」
親父の話をしてくれた。
「後者になる方とです」
「畑中さんは思われますね」
「私はそう思います。誰かを見捨てることもないですね」
「絶対にないですね」
そうしたこともだ。
「野良犬や野良猫はすぐに知り合いの保護団体に連絡しますし」
「そして引き取ってもらってですね」
「飼い主探しますし」
「そうした方ですね」
「どんな命も救えるなら」
それが人でなくてもだ。
「しっかりとです」
「動かれてですね」
「助けようとします、それが医者なんだって言って」
「左様ですね」
「それで感謝も忘れないです」
この気持ちもだ。
「いい加減と言いながら」
「私や小野さんのことも気にかけてくれていますね」
「そうですよね、それで人を外見で判断しないです」
これも親父のいいところだ。
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