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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百二十一話 戻って話してその四

「人を気持ち悪いとか言って邪険にすることも」
「人をそう言って邪険にする人の顔をご覧になって下さい」
「ああ、大抵大した顔じゃないですね」
 元々の顔立ち以前に人相がだ。
「そうですね」
「はい、そんな人は十把一絡げです」
「そんな手合いですね」
「ですが止様は違いまして」
「器が大きいんですね」
「傾かれていると言われますが」
 俗に言う傾奇者だ。
「あの方は前田慶次さんの如きです」
「傾奇者と言えばの人ですね」
「まさに」
「そうですね」
「公平な方なのです」
 この美点もあるというのだ。
「あの方は」
「そうですよね」
「そして誰も外見ではです」
「判断しませんね」
「目を見てそしてお付き合いをして」
「見極めますね、目のことは本当に言ってくれました」
 さっきまで一緒にいた時にだ。
「澄んだ目濁った目で澄んだ目でも狂信者なら」
「それならですね」
「気をつけろって」
「そうしたことがわかっておられる方なので」
「いいですね」
「そうですね、人を気持ち悪いとか言わずに」
 そうしてだ。
「公平に付き合いますね」
「それがあの方であって」
「器が大きいんですね」
「左様です」
「あの器の大きさは見習わないといけないですね」 
 息子として僕も思った。
「親父は自分なんか見習うなって言いますけれど」
「他の人に自分を尊敬しろと真顔で言う人は尊敬されません」
 小野さんが言ってきた。
「絶対に」
「逆に軽蔑されますよね」
「間違いなくそうなります」
「そうですよね」
「自分を振り返るとです」
 そうすればだ。
「大抵の人はそうは言えません」
「自分の悪いところを振り返しますからね」
「それでそう言えるなぞ」
「自分を振り返らない人ですね」
「自分の悪い点を」
「そんな人が立派な筈ないですね」
「はい、そして恥を知っていますと」
 小野さんもこう言った。
「到底です」
「言えないですよね」
「普通の人は自分を尊敬しろとは絶対に言わないです」
「それも真顔で」
「そして笑って自分を尊敬するなと言えれば」
 そんな軽蔑すべき人達とは正反対にだ。
「ご立派です」
「親父もですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「私はそう思います」
「そうなんですね」
「器があります、人は自分を振り返りますと」
 自分の行いをだ。
「どうしても」
「自分を尊敬しろとか言えないですね」
「悔やむこと反省すること思い出したくないこととです」
「色々あるので」
「そうしたものが全くないなぞです」
 それこそというのだ。 
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