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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百四話 あかり、闇を感じるのことその五

 遂にだ。山に入るのだった。散開し小さな隊に分かれてだ。
 暫くは敵もなく順調に進めた。しかしだ。
 山の中腹に来たところでだった。夏侯淵の前にだ。
 クリスが出て来てだ。こう言うのだった。
「ようこそって言うべきかな」
「御前は確か」
「そう。オロチの人間だよ」
 まさにそうだとだ。山の木々の中でだ。夏侯淵達を斜面の少し下に見て話した。
「オロチ一族八傑衆四天王のね」
「そのうちの一人か」
「そう。クリスっていうんだ」
「同じくシェルミー」
「社っていうからな。覚えておいてくれよ」
 そしてだ。この二人もだった。
 影から出て来てだ。夏侯淵に言ってきた。
「私達三人がね」
「あんたをここで殺すからな」
「三人がかりだというのだ」
 それを見てだ。夏侯淵は弓をつがえながらだ。こんなことを言った。
「私を何としても消すつもりか」
「そうだよ。まずは頭を潰したらね」
「楽になるから」
「そういうことにしたんだよ」
「それでなのか。オロチの者が三人も私の前に来たのは」
 夏侯淵もそのことを察した。
「この軍を率いる私をまずはか」
「うん、じゃあ僕の炎で死んでもらうから」
「雷で真っ黒にしてあげるわ」
「地震は山でも起こるんだぜ」
「相手にとって不足はない」
 彼等を前にしてもだ。夏侯淵は冷静でありしかも怯えてもいなかった。
 だが弓は置きだ。こう三人に言った。
「しかし今はだ」
「あれっ、弓は使わないんだ」
「拳で戦うつもりか」
「貴殿等三人を一度に相手にするならば」
 その場合はだ。どうかというのだ。
「この方がいい」
「まさかと思うけれど」
「拳での戦いも自信があるのかしら」
「拳だけではないしな」
 こう言ってだ。剣も抜いて構える。
「もっともこちらは姉者程ではないがな」
「面白いね。この状況で諦めないなんてな」
 社は満足した顔で話す。
「流石って言うべきか」
「よし、じゃあね」
「はじめましょう」
「では来い」
 夏侯淵は剣を構えたまままた言う。
「三人一度に来るか」
「ああ、それはないからな」
 三人一度についてはだ。社は返した。
「あんたそう思ってるみたいだけれどな」
「違うというのか」
「俺達の戦いは違うんだよ」
「では一対一か」
「ああ、一対一で戦ってな」
 それでだというのだ。
「負けたらまた一人出て来るからな」
「そういうことだからね」
「安心してね」
 悠然とだ。シェルミーとクリスも言う。 
 そしてだ。社は夏侯淵にさらに問うた。
「じゃあ誰と戦いたいんだ?」
「御主達のうちの誰かとか」
「そうだ。選べばいいさ」
 余裕綽々といった態度でだ。社は夏侯淵に言う。
「そうして戦えばな」
「わかった。それではだ」
 構えたままだ。夏侯淵は。
 シェルミーを見てだ。こう言ったのだった。
「御主にしよう」
「私なのね」
「その雷には興味がある」
 だからだ。彼女だというのだ。
 
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