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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三話 公孫賛、やはり忘れられるのことその四

「それが何か気付かれてへんだけちゃうか?」
「だとしたら誰だ」
「随分と影の薄い奴だな」
 守矢と漂は気付かないまま話していく。
「それなりに優れている者だな」
「それでも誰も気付かないなんてな」
「普通は有り得ないことだが」
「だよな。この世界にいる奴で影の薄い奴なんていないだろ」
 二人も気付いていないのだった。
「本当に誰なんだろうな」
「一体な」
 二人はだ。全くだった。
 誰なのか気付いていない。それでだ、
 響もだ。こう言うのだった。
「あの、誰でしょうか」
「それが謎や」
 あかりは推理も働かせたがだ。それでもだった。
 彼女にしても腕を組んでいぶかしむ顔になってだ。首を捻るだけだった。
「どの陣営の人も知らんちゅうし」
「私達の世界の誰でもないみたいだから」
 響はこのことについても言及した。
「そうなると」
「わからへんな。こっちの世界に来てる奴ってな」
 誰もがだ。どうかというと。
「濃い奴ばかりやさかいな」
「わからない筈がない」
「そういうことだよな」 
 守矢も漂もだった。彼等の世界から考えても見当がつかなかった。
「誰なのか」
「結局謎は謎のままか?」
「まさかうちでもわからんてな」
 あかりにとってもだ。戸惑いを隠せないことだった。
「こんな謎な話他にないで」
「刹那やオロチが関わっている筈もない」
「やっぱり謎は謎のままだよな」
 こう言ってだ。守矢も漂もだった。
 謎を解明できなかった。そしてだ。
 郭嘉もだ。自分で捜査をしながらだ。眼鏡の奥の目を妙なものにさせるばかりだった。
「わからないわ。本当に誰なのか」
「そうですよね。もう謎が謎を呼んで」
 一緒にいる張勲も顔はにこやかだが声は少し困惑していた。
「わからないですよね」
「赤い髪で白い鎧の女ですよね」
「目撃された姿ではそうですよね」
「そんな人いますか?」
「私は全然知らないです」
「私もです」
 それぞれの陣営の軍師達もこう言うのだった。
「こちらの世界の方でもあちらの世界の方でもない」
「しかも目撃例自体は多いですし」
「都の各地に出没していますね」
「それがさらにわかりません」
 二人は都の中を歩いていた。そうして手掛かりを集めながら話しているのだ。
「美羽様は今もお化けだと言っておられます」
「左様ですか」
「それで怖がってお部屋から出られようとしません」
 相変わらずだ。袁術はそうした存在を恐れているのだ。
「御不浄に行かれたりお風呂の時は」
「どうされていますか?」
「私がいつも付き添っています」
 何だかんだでだ。張勲は忠臣であるのだ。
 それでだ。そうしているというのだ。
「御休みの時も同じ褥にいますよ」
「えっ、それは酷い」
 郭嘉はここまで話を聞いてだ。驚愕した顔になってだ。
 そのうえでだ。こう張勲に言ったのである。
「私がいますから。そうしたことは」
「駄目ですよ。凛さんは曹操さんの家臣ですよね」
「ですがそれでも」
「美羽様は私の主ですから」
 独占するとだ。張勲はにこやかな顔で主張する。
「私が御護りしますので」
「私も。できれば」
 郭嘉は必死にだ。張勲に主張する。
 
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