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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三話 公孫賛、やはり忘れられるのことその五

「美羽様を御護りしたいのですが」
「どうしてもですか?」
「どうしてもです」
 言い切った。見事にだ。
「私達はそれこそ心で一つになっていますから」
「けれど凛ちゃんは私とも」 
 話がさらに複雑なものになる。
「できてるじゃないですか」
「あの、そうした表現をされると」
「美羽様がですね」
「怒られますので」
 実際にだ。袁術の郭嘉への独占欲は尋常なものではない。
 それでだ。郭嘉も言うのだった。
「ですから」
「わかってます。冗談ですから」
「冗談ですか」
「美羽様ってすぐに慌てられるから可愛いんですよ」
 にこりと笑って嗜虐性を見せている言葉だった。
「ですからあえてですね」
「趣味が悪くないですか?」
「そうですか?別にそうは思わないですけれど」
「私はそうしたことは」
 しない。それが郭嘉だった。
「何かこうですね」
「一緒に遊んでいたいのですね」
「はい、そうです」
 まさにそうだというのだ。
「美羽様とは本当に運命めいたものを感じますし」
「そうですね。私達もですね」
「七乃殿と私もですか」
「私と美羽様もです」
 にこにことしながらだ。こう話す張勲だった。
「非常にいい感じで」
「ううむ、言われてみれば確かに」
「それなら三人で楽しみませんか」
「楽しむべきですか」
「そうしませんか?」
 これが張勲の郭嘉への提案だった。
「こちらの世界でも」
「こちらの世界でもといいますと」
「多分。私達は色々な世界で一緒ですから」
「そういえば美羽様とは」
 そのだ。彼女はというと。
「ずっと一緒だった様に思えます」
「私もです、田舎町でも」
「それと舞台では特に」
「三人揃うと特にですね」
「何かずっと一緒にいたような」
 そうした感じだというのだ。そうした話もしつつだ。
 その謎の女を捜す。しかしだった。
 二人は結局見つけられなかった。そしてだ。
 程昱は安楽椅子に座りながら寝ていた。そしてだ。
 起きてからだ。こう言ったのだった。
「そんな人は知りません」
「知らないのね」
「はい、心当たりもありませんし」
 韓浩への言葉だ。
「それにです。赤い髪に白い鎧ですね」
「目撃例ではそうなってるわね」
「それで隊を率いるだけの方になると」
「普通に見つかるけれど」
「しかし心当たりがありません」
 程昱の頭の中でもだった。
「推理をしようにもです」
「しようがないのね」
「ただ。悪霊やそうした存在ではないですね」
 このことは確かだというのだ。
「それならば確かにあかりちゃんやミナさんが動かれますから」
「それじゃあ一体」
「どうしてもわからないのです」
 程昱もだ。眉を顰めさせるしかなかった。
「そうした方がおられるかどうか」
「ううん、何か謎が謎を呼んでるわね」
「全くです。こんなことがあるとは」
「世の中ってわからないわね」
「事実は小説より奇ですね」
「まあそれでよ」
 ここでだ。今度は程昱の頭の人形が言ってきた。
「話はこれ位にしてよ」
「どうするというのですか?」
 程昱は己の頭上の彼を見上げながら尋ねた。
 
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