八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十話 飲み終えてその四
「それでな」
「参考にするんだね」
「ああ、まあ目だけでわかるかっていうとな」
「そうでもないね」
「目がきらきらしていても狂信者だとな」
「昔の十字軍にいたみたいな?」
「あんなのは下手な悪党よりずっと始末が悪いからな」
自分に絶対の正義があると盲信している人はだ、こんな人程始末に負えない人はいないかも知れないとも僕は思った。
「だからな」
「目がきらきらしていてもだね」
「それだけでいいとは限らないんだよ」
「そうでもあるんだね」
「人間正義は一つじゃねえからな」
「それ重要だよね」
「ああ、それに完全に正義か邪悪かで割り切れる位単純でもないんだよ」
親父は僕に歩きながら話した。
「目が濁り切った奴は屑でな」
「それは事実だね」
「吐き気が催す位悪い奴もいるんだよ」
このことは間違いないというのだ。
「実際にな、けれどな」
「それでもだね」
「自分に絶対の正義があると思っている奴もな」
「問題だね」
「ああ、何でもするからな」
「どんな残虐なことでもだね」
「自分を絶対の正義だって思った時こそな」
まさにその時こそというのだ。
「人は一番残酷になれるんだよ」
「相手は絶対の悪になるからだね」
「人間良心はあるんだよ」
「その良心が問題だよね」
「悪を憎むって気持ちもな、しかしな」
「その悪を憎む気持ちが暴走するから」
「もうその相手を徹底的に踏み付けてもな」
例えそうしたことをしてもというのだ。
「全く心が痛まなくなるんだよ」
「どんな残酷なことをしても」
「平気になるんだよ、そんな人間はな」
「吐き気を催す位悪い奴と同じだね」
「とんでもなく下衆い奴等とな」
「飲んでる時に話していたのはどうしようもない人達で」
「言うならそんな下衆だけれどな」
吐き気を催す位にだ。
「けれどな」
「それでだね」
「ああ、自分に絶対の正義があると思ってもな」
その場合もというのだ。
「同じなんだよ」
「徹底的に残酷になれるから」
「それで自分の行いも振り返らないからな」
「自分が絶対に正しいと思ったら」
「完璧な正義なんて思ったらな」
まさにその時はというのだ。
「振り返らないだろ」
「絶対に正しかったらね」
「そう思うからだよ」
「自分を振り返らなくて」
「それで残酷にもな」
「なるんだね」
「ああ、そんな人が一番怖いからな」
それ故にというのだ。
「目がきらきらしていてもな」
「気をつけないといけないね」
「絶対にな」
それこそというのだ。
「目を見るのは大事でもな」
「目だけじゃないってことだね」
「狂信者は駄目なんだよ」
「自分が絶対の正義と思ったら」
「お前も知ってるだろ、そんな奴」
「教会の娘さんが言ってたよ」
天理教の教会だ、八条家の人達が信者になっているこの町の教会だ。名前は八条分教会という八尾の方の大きな教会の所属の教会だ。
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