八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十話 飲み終えてその三
「そう言わないと」
「そっちか」
「うん、澄んでいてね」
「そうなんだな」
「そう言われたことない?」
「やんちゃとは言われるけれどな」
それでもというのだ。
「澄んでるとかはな」
「言われたことないんだ」
「これでも世俗に塗れてるんだぜ」
「遊んでだね」
「色々な奴を見てきてな」
そうしてというのだ。
「もう世俗ってやつにはな」
「かなりだね」
「塗れてな」
それでというのだ。
「人間の嫌な面だってな」
「見て来たね」
「ああ」
こう僕に言った。
「やっぱりな」
「そうなんだね」
「ああ、それでもか」
「うん、目はね」
「澄んでるか」
「濁ったところはないよ」
親父にはっきりと言った。
「全くね」
「そうなんだな」
「人間の嫌な面を見て来ても」
それでもだ。
「それに染まってないんだろうね」
「ガキの頃から成長してないとかな」
「十代の頃から?」
「遊びを覚えてな」
そうしてというのだ。
「それだけだろうな」
「心は子供のままだっていうんだ」
「俺はな、けれど目が澄んでるならな」
「それならだね」
「いいな、人間目を見ればわかるっていうな」
「よく言うね」
「孟子が言い出したか」
中国の思想家の一人だ、儒家として有名で性善説を唱えた。その主張は人間は努力すべきで人から信頼される人や国家になれということだ。
「確かな」
「あの人がだね」
「孟子も面白いぜ」
「読んだら?」
「ああ、ためになってな」
「親父古典も読んでるんだ」
「一応な」
こう僕に話した。
「あと論語も読んでるし荀子もな」
「儒学者みたいだね」
「老子や荘子もだよ」
こちらも読んでいるというのだ。
「それで俺はどっちかっていうとな」
「老子とかなんだ」
「ああ、老荘思想って言うけれどな」
「道教だよね」
「こっちの方がな」
むしろというのだ。
「いいな」
「そうなんだ、まあ親父は堅苦しいの嫌いだしね」
「儒学はか」
「あまり合わないね」
「俺もそう思うしな」
「それでだね」
「ああ、読んでいてもな」
儒学つまり儒教の本もというのだ。
「それでもな」
「道教の方なんだね」
「俺の考えはな」
「無為自然だね」
「それで生きてるしな」
「そうだよね」
「けれど孟子とかもためになってな」
このことは認めていてというのだ。
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