八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十話 飲み終えてその二
「そうなんだよ」
「イタリアとかもかな」
「ローマは違ったけれどな」
「今は日本の方がいいんだ」
「俺はこっちの方がいいな」
日本の方がというのだ。
「実際にな」
「そうなんだね」
「ああ、兎に角な」
「欧州じゃお風呂は東欧なんだ」
「そうだな」
こう僕に言ってくれた。
「正直言ってな」
「それで日本だと」
「何処でもだからな」
日本の場合はというのだ。
「これがいいんだよ」
「そうなんだ」
「だから俺も楽しんできてお前と飲んだしな」
「お袋もだね」
「そうだよ」
僕に笑顔で話した。
「二人でな」
「遊んで来るんだね」
「神戸もいいけれどな」
「大阪もだよね」
「いいからな」
僕に明るい笑顔で話してくれた、一緒に歩きながら。
「あの街は日本一楽しい街だからな」
「神戸以上になんだ」
「神戸も故郷だしな」
「好きだね」
「一番好きだぜ」
このことは事実だというのだ。
「けれど一番楽しい街はな」
「大阪なんだね」
「日本じゃな、世界でもな」
「大阪みたいに楽しい街は」
「そうはないな」
「ニューヨークや上海よりもなんだ」
「俺はバンコクとかジャカルタも好きでな」
「ヴェネツィアも好きだね」
「今住んでるな」
その街もというのだ。
「楽しい街だぜ」
「そうだよね」
「イタリアは楽しい街の宝庫なんだよ」
「ヴェネツィアだけでなくて」
「ジェノヴァやミラノやフィレンツェもな」
「ローマもだね」
「ナポリだってな、けれどな」
それでもというのだ。
「大阪はな」
「特別だね」
「俺が思うに世界でトップクラスのな」
その域でというのだ。
「楽しい街だぜ」
「そうなんだね」
「だからな」
「それでだね」
「明日はな」
「お袋と一緒に行って」
「楽しんで来るな」
こう僕に言った、酔っていても明るく笑っている親父の顔は年齢を感じさせない。少年の様にあどけない。目の光もだ。
「そうするな」
「それじゃあね、けれど今見たけれど」
僕はこのことを言わずにいられなくなった。
「親父の目って十代みたいだね」
「ガキみてえな」
「少年だよ」
親父に笑って返した。
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