| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百十九話 お茶漬けを食べてその九

「そうだよね」
「不平不満は誰だってあるんだよ」
「それはね」
「しかしそれを言わないでな」
「努力することかな」
「あと瘦せ我慢でも傾く」
「それがいいんだね」
「ああ、どんな時でも痩せ我慢でもな」
 それでもというのだ。
「クールでいろとも言うな」
「痩せ我慢でもいいんだ」
「ああ、それで敢えて黙ってることがな」
「いいんだ」
「そこで不平不満を言ったら恰好悪くなるんだよ」
「その長男さんみたいに」
「ああ、お前は別に恰好よくなりたいと思ってないだろうけれどな」
 僕を見て言ってきた。
「けれどな」
「恰好よくなりたいなら」
「下らないことは言わないことさ」
 不平不満なり悪口なりをだ。
「それで前向きにやってくかな」
「不平不満のあるところを改善する為に」
「そうさ、努力してな」
「そうするか黙っておくことだね」
「クールにな、あの長男さんは努力もしないでな」
 その不平不満に対してだ。
「文句ばかりだったからだよ」
「恰好悪かったんだね」
「お前が見ての通りの人だったんだよ」
「そういうことだね、恰好悪くて嫌われていて」
 本当に自分のコミュニティについていつも不平不満や悪口を言う人を好く筈があい、またあの母親が注意せずに甘やかしていた。
「誰からも見捨てられたんだね」
「相手にされなくなってな」
「それで今はね」
「行方不明だよ」
「生きてるかな」
「さてな、けれど本当に恰好悪いな」
「その人生もね」
 それ自体もだ。
「恰好悪いね」
「俺もそう思うから言うんだよ」
「そうだね」
「まあお前が格好よくなりたくないならいいけれどな」
「恰好悪くもなりたくないよ」
「それは大抵の奴が思うさ、だからな」 
 それでというのだ。
「恰好悪い真似はするなよ」
「人間としてだね」
「自分からな」
「そして恰好は」
「ああ、顔やファッションじゃなくてな」
「生き方ってことだね」
「それでなるってことは言っておくな」
 抹茶アイスを食べつつ僕に言ってきた。
「父親としてな」
「そういうことだね」
「ああ、それとな」
「それと?」
「女遊びの時はあれだ」
 今度はこっちの話だった、親父の生きがいと言っていい。
「するなら色々注意しろよ」
「相手のいる人とは付き合わないことだね」
「伊藤博文さんもそうだったんだよ」
「あの人は桁外れの女好きだったね」
「けれど相手のいない人とだけ遊んだんだよ」 
 人妻と、というのはどうも嘘だったらしい。例え女好きでもそうしたことは弁えていた人だったらしい。
「だからあれだけ権勢を持っていて女好きでもな」
「そこを本気で叩く人はいなかったんだね」
「ああ」
 実際にというのだ。
「だからよかったんだよ」
「女好きでも」
「それと病気にもな」
 性病にもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧