夢幻水滸伝
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第二百三話 バンコクからその十五
「間違いなく」
「はい、そうなります」
「流石に図々し過ぎて」
「しかもお風呂に入ってお布団で寝て一泊してお金貰って帰る」
「そんなん許す親戚大概ですね」
「親が甘やかしていますと」
そのケースならとだ、スーンは話した。
「許されます」
「悪い親ですね」
「そうですね」
「多少甘やかしてもいいでしょうが」
「ここまでですと、ですね」
「既にかなり酷くなっています」
親戚とはいえ他人の家に自分の勝手で上がり込んでそうして大飯を喰らって風呂に寝床まで世話になって金を貰って帰る、その様な所業を平気でやる様ではとだ。起きた世界ではまだ十六歳のコープチッティもわかることだった。
それでだ、食べつつも顔を顰めさせてスーンに言った。
「手遅れともです」
「言えますね」
「そこまで酷くなってもですね」
「まだ甘やかす親がいれば」
「そうなりますか」
「そもそもそこまでの親なので」
「そこまで酷くなりますね」
「こうした場合でなければ」
図々しさに人としてのあまりもの質の悪さが出ていなければというのだ。
「食べていいかと」
「そうした人は何時か食べられなくなりますね」
「実際仏罰が当たったのか」
「それで、ですか」
「今はどうしているか」
「その親が亡くなりましたか」
「その前に借金を作って奥さんも逃げていたので家も追い出され」
そうなってというのだ。
「しかも以前から働かず」
「いいところのない人ですね」
「お世話になったお寺でもお寺の悪口ばかり言ったので」
「仏罰が下ったのですね」
「今はどうしているかとです」
今話した様にというのだ。
「なっています」
「自業自得ですね」
「左様ですね」
「流石にそんな場合はです」
幾ら何でもとだ、コープチッティも話した。
「わしも食べません」
「左様ですね」
「人としての品性は守らんと」
「全くです」
「星のモンにもなれませんわ」
その様な輩には世界を救えないというのだ。
「というかそのおっさん自分だけの人ですね」
「まさに」
「そんな人に何が出来るか」
「実際何も出来ないままです」
「そういうことですね」
「今はどうしてるか」
「野垂れ死にかも知れませんね」
コープチッティはそれでも自業自得だと思った、その後は二人は政の話をした。そうして二人でタイの統一と平和で豊かな統治を目指すことを誓い合った。
第二百三話 完
2021・3・23
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