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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十八話 恰好悪い馬鹿その十一

「破天荒でもね」
「そうか」
「うん、親父はね」
 僕が見る限りではだ。
「確かにね」
「破天荒でもか」
「悪いことはしないしね」
「そうした種類の馬鹿でもか」
「そうでもないからね」
 勿論有害なアホでもない。
「だからね」
「いいか」
「うん、それでね」
 親父にさらに話した。
「いいと思うよ」
「そうなんだな」
「というか親父って馬鹿でも人間の屑でもね」
「ないか」
「決してね」
 確かに言えた。
「だからね」
「いいんだな」
「うん、親父みたいになれなくても」
 それは無理だと思っている、正直親父みたいな破天荒な生き方は親父だからこそ出来ることだと確信している。
「それでもね」
「俺は反面教師にはしないか」
「絶対にね」
「そうなんだな、ただな」
「ただ?」
「尊敬なんかするなよ」 
 僕に笑って飲みながら言ってきた。
「それはいいな」
「親父は尊敬されるの嫌いだからだね」
「ああ、そんなの荷が重いからな」
「尊敬されるってことはいつも憧れられていて」
「期待されているだろ」
「そういうのは嫌なんだ」
「ああ、重いからな」
 それでというのだ。
「嫌だからな」
「それでだね」
「ああ、尊敬するなよ」
「他の人を尊敬すべきだね」
「ああ」
 こう僕に言った。
「それはいいな」
「絶対にだね」
「ああ、間違っても自分を尊敬しろとかな」
「自分で言うことはだね」
「しないさ、俺は」
「恥を知っているからだよね」
「俺が俺を知っているからだよ」
 親父自身をというのだ。
「恥を知ってるつもりだしな」
「それでだね」
「俺は自分が尊敬される様な人間じゃないってわかってるんだよ」
「そういうことだね」
「そうさ、だからな」 
「尊敬されるのは嫌で」
「自分から言うのもな」
 このこともというのだ。
「何があってもだよ」
「しないんだ」
「ああ、そんなの冗談でもな」
「言わないね」
「口が裂けてもな、というかよく言えるな」
「その長男さんのお母さんは」
「真顔でな、しかも自分のしたことはな」
 尊敬されろというそのことはだ。 
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