八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十八話 恰好悪い馬鹿その八
「あんなおばさんに投票する様になったらな」
「駄目だよね」
「ああ、そうなったら人間終わりだからな」
「そのお店の人なら投票するだろうね」
「絶対に投票するな、人間は選挙にも性格やレベルが出るんだ」
そうなるというのだ。
「だから馬鹿はな」
「そういうことだね」
「政治家を見ればその国の人間のレベルがわかるっていうだろ」
僕にサイコロステーキの最後の一個を食べて梅酒を飲んで言った、ここで僕も飲み終えていたのでまた親父は注文した。
今度も親父は梅酒僕は柚酒だった、そして今度の肴はまたお造りのセットだった。親父は注文を終えてまた僕に言った。
「日本に帰ったんだ」
「だったらお刺身を食べないとだね」
「だからまたな」
「お刺身注文したんだね」
「ああ、しかし今日は二人共よく食うな」
「そうだね」
「俺にしてもな」
こう僕に言った。
「やっぱり美味いからな、和食がな」
「口に合ってるしだね」
「余計にな、それで話を戻すがな」
「政治家を見ればだね」
「その国の人間のレベルがわかるっていうのはな」
「民主主義だと選挙で選ぶからだね」
「ああ、だから国民が馬鹿だとな」
それならというのだ。
「選ばれる政治家もな」
「そうなるんだね」
「だから衆愚政治っていうのはな」
「選ぶ人がどうにもならないからだね」
「どうにもならない奴を選ぶんだ」
「それで碌でもないことになるんだね」
「そうだ、ちょっと勉強すればな」
それでというのだ。
「その政治家がどんな奴かわかってな」
「自分もまともな考えになるね」
「それで間違ってもテレビはな」
「鵜呑みにしないことだね」
「テレビだけ観たら本当にな」
親父は酔っていた、けれどいい酔い具合で僕に話してくれた。
「その兄ちゃんみたいにな」
「どうしようもなくなるね」
「ああ、極端な例でもな」
それでもというのだ。
「そうなるんだ」
「生きていても意味ないレベルだよね」
「人の嫌味や苦しみ、悲しみがわからなくてな」
「わかろうともしないなら」
「もうこれは本物の馬鹿だ」
「それも最悪の」
「俺もその兄ちゃんの話を聞いて思ったんだ」
親父の話のトーンは低かった、そこに話の深刻さが出ていると思った。
「そんな奴には絶対にならないってな」
「そこまで思ったんだ」
「ああ、人間おしまいだってな」
「そうなったら」
「そこまで思ったからな」
だからだというのだ。
「ずっと頭の中にあるんだよ」
「そうなってはいけないって」
「ああ、アホになれっていうだろ」
「天理教の教えだね」
「そして馬鹿でもいいんだ」
「それ自体はいいんだ」
「しかしアホや馬鹿でも種類があってな」
それでというのだ。
「今話してる長男さんや兄ちゃんやな」
「学者さんとか作家さんみたいなのはだね」
「成っちゃいけない馬鹿だ」
そうだというのだ。
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