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ライブジャスティスシリーズ

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鏑木ハイドライブ/ユキノマボロシ

フラクシナス 司令室

琴里「今回の作戦チーム、士道にしては面白い人材ね」

司令室に集まったのは虎徹、弾、星司、イワン、折紙。

士道が集めた真那奪還チームは琴里の前で作戦概要を確認する。

琴里「これはラタトスクの通信衛星が捉えた7番シェルターの周辺よ」
弾「数キロに渡って豪雪地帯になっているらしいな。他のエリアと比べて大掛かりだ」
虎徹「この積雪も怪人の仕業って奴か?」
星司「そう考えた方が自然だね、こうなると7番シェルターは相当厳しい環境だ」
イワン「それが普通の避難シェルターならともかく、自衛隊の作戦基地なら尚更問題だ」
折紙「真那だけじゃなくASTの基地を解放する事は大きな戦力と補給物資の更なる開拓に繋がる、ここはどうしても解放しておきたい」

すると後ろから白いコート、フェザーを身に纏いながら司令室に士道が現れた。

士道「全員、防寒対策は良いか?」
折紙「士道のフェザー、厚着タイプの物もあるのね」
士道「一応多目的型制御補助装甲って言うぐらいだから色々なタイプが存在してるらしいんだ。俺も詳しくは知らないけど色々なカラーのバリエーションがあったぞ」

そして琴里はロリポップのビニールを破ると静かに告げる。

琴里「今回の作戦はかなりの軍資金を注ぎ込んでるから失敗は許されないわよ、これで失敗したら地下監禁室で3日間犬になってもらうから覚悟する様に」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
弾「良いだろう、そうなる前に僕がカタを付ける。クソ野郎を始末して手土産に奴の首を献上してやる。楽しみにしておけ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

士道「二人とも、気持ちは分かるけどそんな怖い眼で見つめ合うのはやめてくれ!!」

鬼気迫る二人は顔を逸らす弾はセブンスーツを着用し、静かにバイザーを被る。

星司「それじゃあ、行きますか!!」

星司も拳をぶつけ、エーススーツを身に纏う。

鏑木とイワンもバイザーを装着すると折紙も純白の姿、識別名・エンジェルへと姿を変える。

士道「真那奪還チーム、これより出撃を開始する」
琴里「さあ、私たちの戦争(デート)を始めましょう!!」

真那奪還チームは転送装置を起動し、7番シェルター、AST作戦統括基地へと出撃した。

転送された場所は雪と風が全身を打ち付ける廃墟が雪に埋もれた世界だった。

寒さに耐え、士道たちはやっとの思いで7番シェルターに辿り着く。

折紙「ここから先は生体認証式よ、当然私なら開けることが出来る」
士道「それなら頼む」

折紙は液晶に手を当てるとシェルターが開く。

士道たちは中に入ると銃を持ったAST隊員と遭遇した。

隊員1ガチャッ!!「君たちは何だ!!」
折紙「銃を下ろして、私よ」

隊員は銃を向ける、だが折紙とラタトスクのメンバーズマークを見た隊員は銃を下ろす。

隊員1「鳶一一曹でしたか、失礼しました」
折紙「貴方も無事で良かったわ」
隊員1「一曹もご無事で何よりです」
士道「隊員さん、ここに真……」
真那「兄様!!」

すると隊員の背後に、一人の少女が現れる。

崇宮真那、士道の探していた妹その人だった。

真那「やっぱり、放っておいてはくれないみてぇですね」
士道「一体今まで何やってたんだ、皆が心配してるんだ。俺と一緒にフラクシナスに……」
真那「それは無理です」

遮るように告げられた否定の二文字。

士道は真那の瞳を見ると何かを察する。

士道「何か、大事な事があるのか?」
真那「ついて来やがってください、理由はそこで話します」

士道と真那は奥の隔離部屋に案内された。

扉を開けたその先には……

士道「この女の子は……」
真那「来栖雪子、7歳。私が保護したんです」

真那は苦い顔をしながら事の経緯を話し始めた。

真那「次元召喚のあの日、雪子は母親と買い物の途中でした。でも突然起きた時空の歪みからほぼ頭上、つまりこの7番シェルターの周辺で召喚に巻き込まれました。母親は雪子を必死で守ろうとして、ある怪人の放った凍結破壊爆弾と言う悍ましい兵器の犠牲になったんです。近くにいた私は雪子を連れて7番シェルターに向かったんですが、追撃をCR-ユニットで回避しながらやっとの思いでここに辿り着いたんです」

士道は話を聞くと雪子に近付き、頭を撫でる。

士道「怖かっただろうな、よく生きていてくれた」
雪子「ウー!!」
士道「え?」
雪子「ウー、ウー」

真那は士道に対して残酷な事実を突き付ける。

真那「その子の言葉は理解できませんよ」
士道「どういう事だ?」

真那「その子は母親を失ったショックで、言葉を話す事が出来なくなったんです」
士道「なん……だと……」

士道はその真実に言葉を失う。

真那「今のこの子にとって、家族は私なんです。私はこの子を守らなきゃいけないんです。だから今は帰れない、雪子を守れるのは、母親の仇を取れるのは、私しかいないから」

士道は真那の抱えている事情に思わず戦慄した、事態は一刻を争う事を知った士道は真那に仇の名を聞く。

士道「その怪人、名前は?」
真那「凍結魔王 イビルガンダ―。人を平気で嗤って殺す、最悪の外道でいやがります」

真那はその一言と同時にCR-ユニット ヴァナルガンドを装着する。

真那「奴を倒すまで、皆の所へは帰らない。ヤツを倒して、終わらせてやる」

復讐を滾らせる真那の真意を聞き、士道たちは真那を連れて7番シェルターの外に出る。

サイクロン「どうやら、覚悟に触れたようでござるな」
士道「ああ、行こう。この場所を解放する」
弾「怪人の場所は特定した、向かうぞ」


雪の中へと消える士道たち、だが彼らは気付いていなかった。背後を追う小さな影を。

士道たちがやって来たのは森の中、そこには……

イビルガンダ―「ゆ~きやこんこんあられやこんこん♪」

流暢な歌を歌いながら人間の凍ったミイラを森に飾るイビルガンダ―。ミイラを飾り終わると平手で氷の弾を飛ばし、粉々に砕いた。

ガンダ―「あ~面白れぇ、でもやっぱ殺すのとは違うから物足りねぇな、人間生きてりゃ殺すのが楽しいのに」

その様子に真那のとてつもない気迫で飛び上がりチェーンソー型の武器、ヴォルフテイルで斬りかかる。

イビルガンダ―「おお、お客さんがいたとはびっくりだ。こりゃあもてなしてやんねえとな」
真那「黙れ、あの時雪子の母親を殺したお前にこっちはキレていやがるんです!!」
イビルガンダ―「残念だけど、殺された人間の顔と数なんて覚えてネエヨ。楽しけりゃあ良いだろうが!!」
エース「残念だけど、お前は僕の一番大ッ嫌いタイプの怪人だ!!」
サイクロン「激しく同意だ、おぬしとは反りが合わぬ!!」
スペシウムブレードと刀でガンダ―に奇襲をかける二人、セブンもスペシウムソードを二刀流でイビルガンダ―を攻撃する。

イビルガンダ―「良いぜ良いぜ良いぜ!!殺意と恨みの眼、実に殺したくなる」
折紙「この、外道オォォォォォォ!!」

折紙は絶滅天使の広範囲攻撃でガンダ―を袋叩きにし、ガンダーは全身に火傷を負う。

ワイルドタイガー「俺の拳を受けてみろ!!」

鏑木の連続パンチでガンダ―にダメージを与える。

イビルガンダ―「こんな痛みは久々だァ、こいつの使う時が来るとは思わなかったぜ!!」

イビルガンダ―は拳に冷気を纏い、指を立てる。

イビルガンダ―「子供の大好きな言葉を知ってるか?そう、ふ・ゆ・や・す・み」

その言葉と同時に指に冷凍弾を纏わせる。

イビルガンダ―「食らえ、回転五連凍結破壊爆弾!!」

指から凍結破壊爆弾を5発放つ。士道たちは攻撃を間一髪、避ける。

だが真那が避けたその瞬間……

イビルガンダ―「良く避けれたな、でもお前、後ろはちゃ~んと見た方がいいぞ」
真那「!!」

真那が振り向いた先には……

木の陰で全身が徐々に凍っていく、雪子の姿だった。

真那「あ……」

雪子「ま……な…」

真那に手を伸ばし、全身が凍り付くと同時に雪子は粉々に砕けた。

真那「ああ……ああああ……ああああああああああああああ!!!!!!」

残酷な出来事に狂乱する真那。

イビルガンダ―「キャハハハハハ、こいつは傑作だ。ドキュメンタリーしたらテレビの前で爆笑モノの漫才だ。あ~ホント、人間っておもしれえよな!!」

士道「それの何が、面白いんだ?」
イビルガンダ―「何だお前?」
士道「人が死ぬのが、そんなに面白いのかよ!!ふざけるのも大概にしろ!!」

すると士道の全身から大きな炎が吹き上げ、辺りの雪を蒸発させる。

イビルガンダ―「何だ、その炎は……」
イワン「士道君、その力は……」

士道「もう、許すつもりは無い。俺の怒りを以って、お前を裁く!!」

すると士道は手を広げ、燃え盛る炎と共に天使を召喚する。

美九「あの力は!!」
琴里「やってしまいなさい、私の力で、思う存分教えてやりなさい!!」
士道「行くぞ、琴里!!」

士道の手に握られたのは、巨大な赤き戦斧だった。

士道「灼爛殲鬼(カマエル)ッ!!」

イビルガンダ―はその炎の力に戦慄する。

イビルガンダ―「この力、お前は本当に人間なのか!!」
士道「お前に教えてやる、これがお前が殺した人間の痛みだ!!」

灼爛殲鬼を上空に掲げ、士道は叫ぶ。

士道「焼き払え、紅蓮天地殲滅撃(バーニング・ガイア・パニッシュ)!!」

灼爛殲鬼を地面に振りかざしすと同時に炎の爆撃が街一帯を支配する。

イビルガンダ―「あはは、アッハッハッハッハッハ!!」

高笑いと同時にイビルガンダ―は全身を焼き尽くされ、欠片一つ残さず消滅した。

幸い、メンバーは折紙が絶滅天使で守った為、怪我人はいなかった。

雪が晴れた街に太陽の日差しが差し込む中、真那は消滅した雪子の居た場所に座る。

真那「ごめん、ごめんね……」

謝りながら泣き崩れる真那を後ろから鏑木がやって来る。

鏑木「俺は、この先一生、彼女の事を忘れないかもしれないな」

拳を握り、鏑木は転送装置で先に去っていった。

守れなかったものは数多い。その重さを改めて心に刻みつける重要な任務となった。

士道「真那……」
真那「兄様は何も言わなくていい、仇は取れた。それでいい」 
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