八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十八話 恰好悪い馬鹿その二
「その人人の痛みわからないね」
「法律がどうしてあるのかもな」
「法律がないとね」
もうそれこそだ。
「無法地帯になって」
「世紀末みたいになるだろ」
「それで弱い人は」
「あの漫画みたいになるな」
「胸に七つの傷がある人が主人公のね」
「ああなるんだ」
核戦争がなくてもだ。
「それこそな」
「とんでもない世界になるね」
「それでオウムがどうして権力に反対していたか」
「自分達がなろうとしていたね」
「権力者にな」
「それでテロやって」
そしてだ。
「沢山の人が死んで傷付いて遺族の人達が泣いたのに」
「その人達の痛みはどうでもいい、わからないしわかろうとするつもりもないってことだ」
「そうだよね」
「世の中ここまで馬鹿もいるんだ」
「馬鹿も馬鹿だね」
「大馬鹿だろ」
「上に超が付く位のね」
それこそ。
「とんでもない馬鹿だね」
「俺もその話聞いて思った」
「世の中にはそこまでの馬鹿もいるって」
「ああ、こんな馬鹿だと親御さんが泣くだろ」
「自分達の子供はこんな馬鹿なのかってね」
まともな親御さんならそうなるだろう。
「それで自分達はこんな馬鹿を育ててしまったのかって」
「そうだな、俺はお前はそこまで馬鹿じゃないとわかっている」
「僕も自分でもね」
流石にだ。
「そこまで馬鹿じゃないと思うよ」
「そうだな」
「もうここまで馬鹿だと」
そこまで至るとだ。
「吉本隆明や爪切りにまでこだわった人よりもね」
「馬鹿だな」
「馬鹿過ぎるよ」
「爪切りの人でもう白痴同様だと俺は思ったぜ」
親父は飲みながら辛辣な顔で述べた。
「もうな、しかしな」
「その人はさらに馬鹿だね」
「白痴すら超えたな」
「どうしようもない馬鹿で」
「生きてる意味さえな」
権力に反対する人間が人を殺してもいいし法律はなくてもいいし何故権力を嫌うかも考えないで殺された人や遺族の痛みや苦しみ、悲しみをわかろうともしないそしてそれを堂々と言うのならだ。そして権力に反対するならどんな俗物でもいいというのならだ。
「ないってな」
「世の中そこまでの人間もいるってね」
「お前もわかったな」
「うん、残念ながらね」
「ちなみにその店はその兄ちゃん雇って数年で潰れた」
「らしいね」
僕はこのことも知っていた。
「それでどうして潰れたか」
「そんな馬鹿な奴を雇う店だ」
「それじゃあね」
「潰れるのも当然だろ」
「人を見る目がおかしいね」
「これが俺が知ってる一番の馬鹿だ」
「僕もそうだよ」
僕が知っている限りでもだ。
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