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八条学園騒動記

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第六百十七話 地獄の甘さその八

「素晴らしいことです」
「左様ですね」
「そう思います」 
 まさにというのだ。
「私も」
「それはマウリアも同じですね」
「はい、ただマウリアは宗教上の関係で」
 セーラが言ってきた。
「基本です」
「牛肉は食べなくて」
「そして菜食です」
「鳥肉よりもですね」
「ヒンズー教もです」
 尚セーラもラメダスもベッキーもヒンズー教徒である。
「そうでジャイナ教もです」
「ああ、あの宗教も」
「むしろジャイナ教以上に徹底していて」
 それでというのだ。
「歩く時も箒で前を掃いて」
「そうして前を奇麗にするんですか」
「いえ、虫をどけて」
 箒で掃いてというのだ。
「そうしてです」
「虫をどけてですか」
「はい」
 そしてというのだ。
「そうして歩いて修行中も」
「その時もですか」
「瞑想の時にマスクをして」
「お口やお鼻にですね」
 店員もそれはわかった。
「入って虫が死なない様に」
「してくれています」
「そうですか」
「はい、そして食事も」
 こちらもというのだ。
「菜食主義が徹底しています」
「殺生をしないんですね」
「ですがそれでも命は頂きます」
 植物にも命があるからだというのだ、菜食主義は確かに動物の命は奪わないが殺生はしてしまうというのだ。
「残念ですが」
「そうなりますね」
「ですから」
 それでというのだ。
「人は、いえこの世にあるなら」
「それならですか」
「どうしても命を奪います、植物は栄養は土や日光から得ますが」
 水分や養分を根や歯から得て光合成をしてである。
「他の命ある存在は」
「全てですね」
「はい」 
 まさにというのだ。
「他の命を頂き」
「生きるものですね」
「どうしても」
「そうしたものだからですね」
「そのことを自覚して」
 そのうえでというのだ。
「生きていくことです」
「アイスクリームもですね」
「そうです、そしてマウリアのアイスは」
 再びそちらの話をした。
「今召し上がって頂いた通りに」
「恐ろしい位に甘いですか」
「左様です」
 そうだというのだ。
「そしてその甘さは他のお菓子も同じで」
「マウリアじゃ普通ですか」
「そうです」
「甘さの基準が違いますね」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「連合のお菓子はエウロパより甘いです」
 これはセーラが実際にエウロパに留学して知ったことである、料理は食べてこそその味がはっきりわかるものだ。 
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