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八条学園騒動記

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第六百十七話 地獄の甘さその九

「左様です」
「あそこは素材を大切にするとかいいますからね」
 店員はエウロパについては顔をむっとさせて述べた。
「だからですね」
「はい、ですから」
「それで、ですか」
「お菓子もです」
「甘くないですか」
「連合のものより。ただかつては」
 セーラはこうも話した。
「オーストリアのザッハトルテは日本のお菓子よりです」
「甘かったんですか」
「そうらしいです」
「昔はそうだったんですね」
「はい、和菓子も」
「和菓子も甘いですが」 
 それでもというのだ。
「それでもですか」
「昔はです」
「エウロパのお菓子の方がです」
「甘かったんですね」
「そうでした」
「それは知りませんでした」
「お菓子も時代によって味が変わります」
 これは調味料やキッチンそして味の好みの変化によってである。
「ですから」
「それで、ですか」
「そちらもです」
「変わって」
「そうなります」
「そうなんですね」
「それで、です」
 ラメダスが言ってきた。
「アイスをもう一つお願い出来ますか」
「買ってくれますか」
「はい」
 店員に笑顔で答えた。
「そうしてくれますか」
「そうです」
 笑顔での言葉だった。
「私は五段重ねで」
「五段ですか」
「バニラと」
 そしてというのだ。
「チョコレート、レモン、ストロベリー、ブルーベリーの」
「五段ですか」
「それで」
 是非と言うのだった。
「お願いします」
「それじゃあ」
「私は三段で」
 ベッキーも言ってきた。
「バニラだけで」
「三段ですか」
「それでお願いします」
「わかりました」
 店員はまずはラメダス次にベッキーのものを作った、そうしてそれぞれに差し出した。ここでだった。
 セーラも店員に笑顔で言った。
「私は十二段を」
「十二段ですか」
「はい、バニラに」
 まずはこれにというのだ。
「チョコレート、レモン、ストロベリー、ブルーベリーに」
「さらにですか」
「そして抹茶の六つを二つずつで」
「合わせて十二段ですか」
「お願い出来ますか」
「いいですが」
 それでもとだ、店員はセーラに引いた顔で問い返した。
「バランスが」
「それがですね」
「悪くなりますが」
 十二段も重ねと、というのだ。
「それでもですか」
「お願いします」
 セーラはこう返した。 
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