八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十七話 日本にいることその二
「何も知らないで馬鹿の方がいいんだよ」
「ああ、それはね」
僕もわかった。
「変な知識入れるとね」
「今話している人達みたいにな」
「なるよね」
「ああ、そうなるからな」
「まだだね」
「ずっとな」
遥かにというのだ。
「何も知らない方がな」
「いいんだね」
「勿論知るに越したことはないさ」
それが一番いいというのだ。
「けれどな」
「それでもだね」
「ああ、変な知識ってのはな」
「知らないことだね」
「世の中知らない方がいいとも言うだろ」
「そういうことなんだね」
「そういう場合もあるんだよ」
変な知識を備えるケースもというのだ。
「その言葉についてはな」
「色々意味があるんだね」
「ああ、勿論ドラマでよくあるな」
「秘密を知ったからにはだね」
「そうした場合もあるしな、特にな」
親父は梅酒を飲みつつ僕に言ってきた。
「その火とのプライベートのことがな」
「知られてはいけない秘密ってあるね」
「そうしたことを知ることがな」
「怖いんだ」
「こんな怖いものはないからな」
その火とのプライベートのことはというのだ。
「家のこととかな」
「色々あるんだね」
「ああ、闇が深いからな」
「その闇が怖いってことだね」
「気を付けろよ」
その人や家のプライベートのことはというのだ。
「下手に踏み込んで知ったらな」
「後悔するんだね」
「そうなることもな」
その場合もというのだ。
「あるからだね」
「ああ」
だからだというのだ。
「本当にな」
「このことはだね」
「お前もこれからそうした時があるからな」
「その人とか家のことに」
「その時洒落にならない闇を見てな」
人間の持つ闇、それをというのだ。
「死ぬ程度後悔することもな」
「あるんだね」
「だからな」
それでというのだ。
「注意しろよ、知らなかったらよかったって思うからな」
「それが一番だね」
「知らないことがいい方がいいっていうな」
「その言葉の意味にだね」
「一番当てはまるからな」
だからだというのだ。
「気をつけろよ、とはいってもある程度知ってないか?」
「そう言われたらね」
僕もだ」
「それはね」
「知ってるな」
「うん」
その通りだった。
「実際のところね」
「そうだろ、それならわかるな」
「怖いね、人間ってのは」
僕は飲みながらしみじみとした口調で答えた。
「何よりも」
「そうだよ、だからな」
「それでだね」
「知らない方がな」
まさにというのだ。
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