八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三百十七話 日本にいることその一
第三百十七話 日本にいること
親父はすぐに持って来てもらった梅酒を飲みながら僕に言ってきた。
「あちこち外国を回ってそして住んでみるとな」
「日本のよさがわかるんだね」
「いい国で国民性だってな」
「いいってだね」
「そりゃおかしな奴がいておかしなところはあるさ」
それでもという言葉だった。
「けれどな」
「いい国だよね」
「ああ、そのことを実感するさ」
「そうだよね、僕もそう思うよ」
「そうだろ、政治や経済だってな」
「いい方だね」
「ああ、けれどそうした人達はな」
日本が嫌いな人達はだ。
「そんな風なんだよ」
「日本の悪口ばかり言うね」
「そうだよ、それでそんなに日本が嫌いならな」
「北朝鮮にだね」
「行くといいんだよ」
あの自称地上の楽園にというのだ。
「それで一生暮らせばいいさ」
「あの究極の独裁国家でなんだ」
「階級もあっていつも食いものがないな」
「そんな国にだね」
「それで二度とだよ」
「日本に帰らない」
「そうすればいいだ、嫌いな連中の税金で暮らしたり買ってもらった印税でそうしたりな」
「作ったものを食べたり」
「嫌だろ」
それこそというのだ。
「お前だったらな」
「それはね」
僕もその状況が自分ならと想像してから親父に答えた。
「嫌いな人に本を買ってもらったりね」
「その税金でだな」
「暮らして」
そうしてだ。
「作ったものを食べたりとか」
「嫌だな」
「うん」
それはだった。
「本当にね」
「そう思うのが普通だけれどな」
「そうした人達はだね」
「ずっと日本にいてな」
大嫌いな筈のこの国にだ。
「それで暮らしてるんだよ」
「矛盾してるね」
「それも卑怯な矛盾だな」
「そうだよね」
「本当に徹底的に日本が嫌いならな」
もう文章を書けば罵る程だ、そのドラゴン四兄弟の作品なんてそれが作品のかなりの部分を占めている位だ。
「是非にだ」
「日本からだね」
「出ないとな、まあオーストラリアに一旦出た人もいたな」
「漫画原作者だよね」
「あの人も大概だがな」
「あの漫画問題だらけだしね」
長期連載の中で一体どれだけおかしな主張をしてきたか。
「というかプロ市民の漫画だよね」
「ああ、完全にな」
「それでその人はだね」
「向こうで色々あったみたいでな」
「日本に戻ってだね」
「相変わらずだよ」
「そうなんだね」
「俺はあの漫画もう読んでないがな」
その美食漫画はというのだ。
「読むと馬鹿になるからな」
「変な知識入れてだね」
「変な知識入れて馬鹿になるよりな」
それよりもとだ、親父はソーセージを食べつつ僕に言ってきた。
ページ上へ戻る