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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十六話 親父との忘年会その十二

「もうね」
「日本から出てな」
「日本人が育てたり手に入れた食材で日本人が作った料理もね」
「食うべきじゃないな」
「そう思うよ」
「全くだな、何でそこまで日本が嫌いなのか」
 飲みながら言ってきた。
「俺は首を傾げる時があるぜ」
「共産主義大好きだからだよね」
「ああ、そこにはじまるけれどな」
 親父もわかっていた。
「けれどあそこまでなのはな」
「わからないんだね」
「もう何とかの一つ覚えみたいにな」
 そんな感じでというのだ。
「日本の悪口言う学者先生とかはな」
「そんなに日本嫌いならだね」
「中にはな」
「中には?」
「昭和帝が崩御された時にな」
 もう三十年以上昔だ、当然僕は影も形もない。
「喪に服していたり悲しんでいる人を見て自分は土人の国にいるとか言った学者がいたんだよ、京大にな」
「京都大学になんだ」
「ああ、その光景見てな」
「土人ってね」
「差別用語だからな」
「僕その言葉使わないよ」
 そう決めている。
「何があっても」
「俺もだ、それは個人の思想でな」
「しかも皇室は日本の国家元首のお家で」
「昭和帝のことはお前も知ってるな」
「素晴らしい方だよね」
「ああ、理想的な君主だな」
 親父は昭和帝についてはっきりと言い切った。
「もうな」
「そうだよね」
「明治帝もそうであられたけれどな」
「昭和帝もだね」
「ああ、常に国民と日本のことを考えておられたんだよ」
「本当に偉大な方だったね」
「その方が崩御されてな」 
 その時にというのだ。
「悲しんでいる人を見てな」
「そんなこと言ったんだ」
「そうだよ、京大は国立だろ」
「国民の税金で運営しているね」
「その学者さんの給料もだよ」
 それもというのだ。
「税金から出ているんだよ」
「それで暮らしていてなんだ」
「ああ、そのうえでな」
「そんなこと言ったんだね」
「そうだよ、土人の国にいたらな」
 その時はというのだ。
「それで土人の金で飯を食ってるだろ」
「それ矛盾してるね」
「そんな自分が蔑んでる人達に食わせてもらってるんだよ」
 土人という言葉にある差別的な響きを感じるとだ。 
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