| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百十六話 親父との忘年会その十一

「絶対にな」
「しないんだね」
「ああ、そんな器の小さなことはしないさ」 
 絶対にという言葉だった。
「美味いものは皆で食ってこそだよ」
「それでだね」
「最高に美味いんだよ、だからな」
「僕もだね」
「食えよ、あと焼き鳥もな」
 これもというのだ。
「食えよ、他のものだってな」
「食べることだね」
「冷奴も枝豆もな」
 こういったものもというのだ。
「食えよ」
「そうするね」
「そして飲めよ、あとな」
「あと?」
「まだ頼むよな」
 僕に笑いながらこうも言った。
「今注文したのを食い終わったら」
「そうするよ」 
 僕は当然だとだ、笑って答えた。
「最初からそのつもりだよ」
「そうだな、じゃあな」
「まだだね」
「飲んで食えよ、はじまったばかりだからな」
「どんどん飲んで」
「食おうな、こうした酒池肉林もいいだろ」
 和風それも居酒屋のものもというのだ。
「そうだろ」
「そうだよね、卵焼きとかも食べてね」
 その卵焼き、だし巻きのそれが来たので受け取ってから応えた。そこでそれぞれのお酒も来たので受け取った。
「そうして楽しむのもね」
「いいだろ、肉じゃなくて魚でな」
「他の健康的な和食で」
「そういうのを楽しみながらな」
「飲むのもいいよね」
「日本に生まれてよかったな」
 親父は梅酒を飲みながら満面の笑みで言った。
「こんな美味いもの楽しめるんだからな」
「それはそうだよね」
「ああ、いるだろやたら日本の悪口言う知識人」
「いるね」
 作家とかにだ。
「もう無性にね」
「そんな奴はこうしたもの食ってどう思うんだろうな」
「それはそれじゃないかな」
「食いものや飲みものはか」
「そうじゃないかな」
 柚酒、ロックのそれを飲みながら答えた。
「やっぱりね」
「調子のいい奴だな」
「日本や日本人は嫌いでもね」
「日本にいてか」
「それで日本に悪意は持っていても」
 それも病理に至るまでだ。
「それでもね」
「食いものはいいってか」
「何だかんだで日本に住んでいてね」
 そうしてというのだ。
「そうじゃないかな」
「そんな奴は最低だと思うだろ」
「うん、そんなに日本が嫌いならね」
 僕は親父に心から答えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧