ライブジャスティスシリーズ
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鏑木ハイドライブ/我儘な優しさ
夕日が沈み、夜の訪れを告げる頃。
士道はアスガルド・エレクトロニクスの外で鏑木、ワイルドタイガーと対峙する。
ワイルドタイガー「手加減なしでやっていいんだな?」
士道「ああ、本気で来てください」
何故、士道は鏑木と戦うのか?
その理由は……
鏑木『俺と模擬戦闘がしたいのか?』
士道『確かめたい事があるんです』
鏑木『確かめたい物は何だ?お前の事だから訳アリなんだろ?』
士道『助けなきゃいけない、家族がいる』
鏑木『良いだろう、相手になる』
そして二人は今……
士道(ファントムから託されたこの霊結晶が何なのか、それを知る事が出来れば)
ワイルドタイガー「ハンドレッドパワー!!」
能力を発動し、士道に殴りかかるワイルドタイガー。
その攻撃に対し手で顔を隠す士道。
だが……
ワイルドタイガー「うおおおおおお!!」
突如、何も無いはずなのに弾き飛ばされるワイルドタイガー。
士道に再び攻撃を行うも何も無いはずの士道との間合いに何度もぶつかる。
士道「これは……」
そして士道は手を下げて拳を握ると……
バキィ!!
ワイルドタイガーの腕の装甲が何の前触れもなく粉々に砕かれる。
ワイルドタイガー「ああああ、俺のスーツ!!ヤバイ、斎藤さんに怒られるぞ!!」
士道「ご、ごめん!!」
ワイルドタイガー「ていうか何の能力使った!!お前こんな能力今まで使った事あったのか!!」
士道は約束の関係で鏑木にこの能力の話は出来なかった。
士道は5秒の沈黙の後、鏑木に伝える。
士道「昔考えた技だよ、今まで恥ずかしくて使えなかったけど」
誤魔化す為にわざわざ自分の黒歴史を盾にした。
フラクシナスに戻った士道は、一人自室に入るとすっかり暗くなった空を見上げるのだった。
???「かつての君に似ているね、シン」
士道が振り向くとそこには園神凜祢の姿をしたファントムが再び現れた。
士道「お前を助けたもう一人の俺も、空が好きだったのか?」
ファントム「色々連れて行ってもらったの、凄く楽しかった」
すると士道は霊結晶を手にファントムに尋ねた。
士道「君がくれたこの霊結晶、一体何の為に俺に託したんだ?この力は誰の力だ?」
ファントムは士道と身体を重ねて答えた。
ファントム「この霊結晶は、始原の精霊の力の一部。輪廻楽園(アイン・ソフ)の力。つまりは私の天使の一つよ」
士道「成程、それならアイザックに知られたらマズイのも納得だ」
ファントムは士道の手を重ね、悪戯な上目遣いで士道に聞く。
ファントム「真那の事、心配?」
士道「あいつ、世界召喚の時に外にいたんだ。怪人軍団にやられる程弱くないけど。でも唐突にメールが届いて……
関わるな、そう残して通信が途絶えた」
ファントム「きっと、一人で戦ってるんだよ。皆の為に……」
士道は涙を流すファントムの頬に触れ、涙を拭う。
士道「真那には悪いけど、関わるなって言って一人で背負い込む様な人ほど、俺は関わろうとする。お節介呼ばわりはもう慣れたけど、見捨てられない。真那もファントムも、皆俺が幸せにしてやりたい」
士道の言葉にファントムは顔を赤くし、目を逸らす。
ファントム「一体どこでそんな言葉覚えたのよ?」
士道「でも、これが俺の本心だよ。それより今は、真那を探さないとな」
ファントムは士道を信じてある事を伝えた。
ファントム「避難シェルターの周辺は、AST(アンチ・スピリット・チーム)が防衛線を張っている。恐らく彼女も避難シェルターを中心に怪人軍団と戦ってるんだと思う」
士道「じゃあ、ASTに保護されてる可能性が高いって事か」
ファントムは士道に最後に言い残す。
ファントム「シェルターナンバーは7番、AST作戦統括基地周辺を調べなさい。私が話せる情報はここまで、後はどうするか。シンが決めて、無事を祈ってるわ」
ファントムは姿を消し、士道は一人心に決めるのだった。
士道「どうするかって、決まってるだろ。助ける……必ず……」
霊結晶を握り締めて、士道は空を見上げた。
翌朝
琴里「珍しいじゃない、士道から任務の申請なんて」
士道「ようやく、居場所が分かったんだ」
琴里「もしかして、真那の居場所?」
士道「第7避難シェルター、AST作戦統括基地、そこに真那がいるかもしれないんだ」
琴里は士道の言葉を半信半疑で聞きつつも、ロリポップのビニールを剥がし、士道に突きつける。
琴里「良いわ、やってみなさい。チーム編成は自由にしていい、ただし、予算を使って真那の救出に失敗したら黒歴史の一つを皆にバラすから覚悟してなさい」
士道「ありがとう、琴里」
必ず真那を連れ戻す、その想いを胸に、再び戦争が始まるのだった。
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