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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十六話 親父との忘年会その五

「覚醒剤の中でもな」
「確か病院にもあるよね」
 モルヒネと聞いてだ、僕は親父に聞いた。
「痛み止めで」
「末期の癌患者の人にな」
「ああ。末期のなんだ」
「もう死ぬしかない人にな」
「出すんだね」
「末期癌ってのは辛いものなんだよ」
 親父は僕に苦い顔で話した。
「俺はなったことないけれどとんでもない痛さでな」
「それでその痛みから逃れる為に」
「使うからな、もう死ぬしかない人に出すものだからな」
「モルヒネが嫌いなんだ」
「特にな」
「そうなんだね」
「もうモルヒネ使ったらな」
 それこそという顔での言葉だった。
「終わりってことなんだよ」
「病院だと」
「ああ、本当にな」
「そういえば」
 僕は前に観たスルールウォーズというドラマを思い出した、昔のドラマでラグビーから更正し青春を掴む熱いドラマだ。
 そのドラマの名前を出してだ、僕は親父に言った。
「スクールウォーズでもね」
「あのドラマであったな」
「わかるんだ」
「もうすぐ死ぬ人に出す薬だろ」
「アルファベットと数字の」
「あれは本当にな」
「モルヒネかも知れないんだ」
 親父の言いたいことがわかった。
「実際に」
「その話の登場人物脳腫瘍だったろ」
「脳腫瘍って頭の癌だよね」
「そうだよ、脳のな」
「かなり痛いらしいね」
「だから肺癌とかが転移してな」
「脳腫瘍にもなるんだね」
「あれはそうだっただろうな」
 親父は僕ににこりとせずに言った。
「俺が思うにな」
「あれがモルヒネだったんだ」
「実際にあの子は死んだしな」
「そうだったね」
「癌ってのは嫌な病気だ」
 親父の声がこれ以上にないまでに苦いものになった。
「治ったって思ったら転移もな」
「あるし」
「ああ、あんな病気なかったらな」
「いいよね」
「どの病気でもそうだけれどな」
「癌でもだね」
「若い人でもなってな」
 そしてというのだ。
「それで若い人程な」
「進行早いんだよね」
「それで死ぬんだよ」
「そう思うと嫌なものだね」
「だからな」
「親父癌嫌いなんだね」
「大嫌いだよ、そしてな」
 親父は僕にさらに言った。
「モルヒネもな」
「嫌いなんだね」
「上に超が付く位にな」
 そこまでというのだ。
「嫌いだよ」
「そうなんだね」
「正直あれを出すのを見るのもな」
 モルヒネ、それをというのだ。
「嫌だよ」
「そこまでなんだね」
「ああ、覚醒剤も同じ位嫌いだけれどな」
「あれが一番身体と心がボロボロになるらしいね」
「病院にも来るからな」
 その覚醒剤中毒の人がというのだ。 
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