八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十六話 親父との忘年会その四
「それが巨人に入って」
「どんどん悪くなったな」
「引退したらヤクザみたいになって」
入れ墨まで入れてだ。
「今だってね」
「見れたものじゃないだろ」
「うん」
正直言ってだ。
「何か正視に耐えないよ」
「子供に見せられないな」
「絶対にね」
子供の教育に悪い、確信して言える。
「あそこまでいったら」
「そうなったのはな」
「なるべくしてなったんだね」
「ああもなるな、というか俺も金は使うがな」
遊びにだ。
「しかしそんな何処に行ったとかな」
「言わないよね」
「わかっていて使ってるんだよ」
お酒に女の人にだ。
「それが真っ当なんだよ、そして間違っても麻薬はな」
「やらないことだね」
「麻薬なんてやってもな」
親父は僕に目を怒らせて話した。
「いいことなんて全くないからな」
「身体も心もボロボロになって」
「廃人になってな」
そしてというのだ。
「死ぬだけだ」
「実際に死ぬ人もいるしね」
「今話している野球選手もだろ」
正確に言うと元野球選手だ。
「そうだろ」
「幻覚見て暴れてたそうだし」
「身体も絶対にな」
「ぼろぼろだね」
「あれは長生き出来ないぜ」
親父は確信の言葉を出した。
「わかるだろ」
「物凄く太ってるしね」
「不摂生な生活もしていてな」
「覚醒剤もやっていたら」
「もうな」
それこそというのだ。
「長生きなんてな」
「出来る筈がないね」
「麻薬やってて長生きとかな」
「出来る筈がないね」
「ああ、溺れた奴も散々見てきたさ」
親父の目に今そうした人達が浮かんでいるのがわかった、僕には見えないがそれが地獄絵図であることは想像がついた。
「もうボロボロになってな」
「死ぬんだね」
「長生きどころかな」
「そうなって死ぬんだ」
「だからあの野球選手もな」
「長生き出来ないね」
「ああ」
絶対にとだ、親父はまた確信の言葉を出した。
「六十まで生きられたらな」
「奇跡かな」
「まずないな」
あの人がそこまで生きることはというのだ。
「本当にな」
「そう思うと悲しいね」
「それでも自業自得だろ」
「そうした生き方をしてきたから」
「ああいうのが本当の馬鹿だ」
そこまで言っていいというのだ。
「お前はああした奴にもな」
「なったら駄目だね」
「お前自身が不幸になるからな」
それ故にというのだ。
「いいな」
「そうだよね」
僕も実感することだった。
「覚醒剤なんかしたらね」
「というか麻薬全体がだ」
「やるものじゃないね」
「俺は特にな」
「特に?」
「モルヒネが嫌いだよ」
麻薬の中でもというのだ。
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