八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十六話 親父との忘年会その一
第三百十六話 親父との忘年会
僕はこの日八条駅の前に六時に来た、するとその時間に親父が明るい調子で手を振りながら軽くやって来た。
「行くか」
「待ったかじゃないんだね」
「それはお姉ちゃんに言う言葉だろ」
親父は笑って返してきた。
「そうだろ」
「そうなんだな」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「こう言ったんだよ」
「行くかって」
「そうだよ、じゃあ行こうな」
「居酒屋にだね」
「白鯨にな、それで思ったけれどな」
親父は僕にこうも言ってきた。
「白鯨だろ」
「だからどうしたのかな」
「だから鯨だろ」
「ああ、鯨もなんだ」
「食うか」
「あのお店鯨あったかな」
「お店によっちゃあるだろ」
鯨のお肉もというのだ。
「そうだろ」
「いや、まだ鯨はね」
「そんなに増えてないか?」
「確かに自由に捕鯨出来る様になったけれど」
日本もだ。
「流石にね」
「今はまだか」
「ないんじゃないかな」
「そういえば捕鯨は復活してもな」
親父も言ってきた。
「ルートがまだ復活していないか」
「ルート?」
「だから店に出るだよ」
それのというのだ。
「ルートだよ」
「あの漁業の」
「ああ、やっぱりものを売るにはな」
「それぞれのルートがあるね」
「薬だってそうだろ」
病院で使うそれもというのだ、それを話に出す辺りやっぱり親父はお医者なんだとつくづく思った。
「まず研究してな」
「開発して」
「そして完成させてな」
「それから造って」
「それからお店に運ぶだろ」
「それで売るね」
「それは鯨も同じでな」
それでというのだ。
「やっぱり四十年捕鯨であれこれ言われてきてな」
「あまりというか殆ど獲れなくなって」
「それでな」
「鯨のお肉をお店に出すルートも」
「それも使わなくなってな」
「なくなったんだ」
「そうなったからな」
親父は僕に寂しそうに話した。
「まだそれが復活してなくてな」
「お店にはだね」
「まだ鯨はな」
その御肉はというのだ。
「出ていないか、考えてみれば」
「捕鯨再開してもだね」
「すぐに食えるかっていうとな」
「違うんだね」
「ああ、そうだったよ」
親父はまた残念そうに言った。
「全く、鯨食うのも文化だってのにな」
「今更言っても仕方ないけれどね」
「ああ、昔の日本は今よりずっと外圧に弱かったからな」
「それで捕鯨もだね」
「駄目だとか言われてな」
それでというのだ。
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