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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十五話 親父と会う前にその十四

「絶対に感謝もしないぞ」
「そんな手合いじゃないね」
「恩にも感じないしな」
「本当に人間じゃなくなってるね」
「むしろこんな連中を見付けたらな」
 親父の声は実際にそんな手合いを知っている声だった、人間長く生きるとそんな手合いとも会うということか。
「仕事じゃなかったらな」
「成敗すべきかな」
「そうだ、生きていてもな」
 こんな手合いはというのだ。
「悪事しか働かないだろ」
「目に見えてるね」
「さっき言ったが吐き気を催す邪悪ってのはな」
「そんな連中がなるんだね」
「本物の屑がな」
「本当に本物だね」 
 立派な人にも本物がいるけれどだ。
「悪い意味で」
「そこはまた言うがな」
「覚えておけっていうんだね」
「そうだ」
 まさにという返事だった。
「だからいいな」
「自分のエゴで命を粗末にする人と」
「人の下半身を攻める奴はな」
「絶対に信じないことだね」
「そうだ、それでさっき言った両親までいくとな」
「成敗すべきだね」
「それが人の義務ってやつだ」
 親父は確かにいい加減だけれど人の道はわかっている、だから善悪の見方もはっきりとしているのだ。
「そこもな」
「わかってだね」
「生きろよ、これから」
「うん、そうしていくよ」
「じゃあまた明日な」
「一緒に飲もうね」
「忘年会でな」
 こう僕に話してくれてだった。
 親父は電話を切った、そしてだった。
 僕は明日のことを思った、その明日はすぐにやって来た。


第三百十五話   完


                2021・1・8 
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