夢幻水滸伝
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第二百話 インドネシア統一の為にその一
第二百話 インドネシア統一の為に
アブドゥル=ロシティーはこの世界に来てすぐに声からこの世界のこととこの世界の自分のことを聞いた、そして。
まずは今自分がいるジャカルタからバリ島に向かうことを決意した、そこに声からインドネシアのもう一人の星の者がいると聞いたからである。その際の旅賃は自分の演奏を流しで行って得ることにした。
それで路頭で演奏をするとだった。
「凄いな、あの演奏」
「あの魔人の男の演奏かなりいいな」
「これは金払ってもいいぞ」
「それだけの価値がある」
演奏を聴いた者達は彼が用意した金を入れる箱に次々と金を投げ入れた、忽ちのうちに箱から金が溢れた。
その金で船に乗ってバリ島に向かった、それで船に乗るとだった。
船長は彼が出した金を見て驚いて言った。
「兄さん、また凄い金持ってるな」
「演奏したら一時間程でこれだけになったわ」
「そうか、あんた凄い音楽家なんだな」
「そやな、職業は芸術家やが」
ロシティーはスリックの船長に笑って応えた。
「そのせいやな」
「芸術家でも相当なものだな」
船長はこう彼に返した。
「その腕は」
「それでっていうんやな」
「そうだよ、一時間でそれだけ儲けるなんてな」
それこそというのだ。
「あんた相当な腕だな。よかったらな」
「この船でもか」
「演奏してくれるか?いい演奏だったらそれを船賃にしてな」
「この金はええか」
「ああ、今からちょっと俺にその演奏聴かせてくれるか」
テスト、それでというのだ。
「そうしてくれるかい?」
「ほなな」
ロシティーも笑顔で応えた、そうしてだった。
実際にその場で自身の神具であるパガニーニのバイオリンで演奏してみせた。すると船長はその演奏を聴いてだった。
その瞬間に聴き惚れた、そのうえで彼に言った。
「もう船賃どころかこっちが金払ってだよ」
「船に乗って欲しいか」
「ああ、本当に金払うからな」
そうするからだというのだ。
「船に乗ってくれるかい?」
「そうしてええか」
「頼むよ、毎日演奏してくれたらその度にな」
「金出してくれるか」
「ああ、それでどうだ。実は船は俺が持ち主だからな」
即ちオーナーだからだというのだ。
「だからな」
「それでか」
「俺が契約するってことでな、どうだ」
「よし、それで頼むわ」
パガニーニも笑顔で応えた、そしてだった。
彼は船賃を支払うどころか演奏の度に金を貰うという契約でバリ島に向かう船に乗った、そして朝夕の一日二回演奏すると。
実際にその度に金を貰った、船長だけでなく船員や他の客達からも貰った。それで船員や客達も言った。
「まさかここまでの演奏が聴けるなんて」
「この船に乗って」
「私達は運がいいわ」
「本当にね」
「世の中運はアッラーがもたらしてくれる」
ロシティーは彼等に演奏の後で話した。
「そやろ」
「ではこのことはアッラーの思し召しか」
「アッラーが俺達にあんたの音楽を聴かせてくれている」
「そういうことなんだな」
「わいがこうして演奏出来るのもや」
このこともというのだ。
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