八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十五話 親父と会う前にその十三
「それでもな、けれどな」
「今話している人達は」
「仕事でも友達でもだよ」
その両方でというのだ。
「家族でもな」
「信じたらだね」
「絶対に駄目だからな」
「そんな人もいるんだね」
「お前俺は信じてるよな」
親父は僕に笑った声で聴いてきた。
「母さんも」
「当たり前だよ」
僕は一言で答えた。
「そんなことは」
「そうだな、しかしな」
「そうした人達はだね」
「何があっても信じるな、自分が旅行に行きたいから飼い猫を保健所に捨てる親を信じられるか」
「それペット用のホテルに入れればいいじゃない」
僕は即座に答えた。
「そうしたら」
「普通はそう思うな」
「うん、というかそれ以前にね」
「自分が旅行に行きたいからってだな」
「猫を保健所に送るって」
飼っている猫をだ。
「その人って人間?」
「屑も屑だな」
「命何とも思ってないよね」
「しかも娘に怒鳴って言うんだ」
「自分の?」
「猫か旅行どっちか選べってな」
「それ自分が旅行に行きたいんだよね」
そのことはすぐにわかった。
「それで娘さんが猫と離れるからって」
「ああ、泣いている娘に怒鳴ってな」
「ザ=ひとでなしだね」
この言葉がナチュラルに出た。
「その親って」
「父親がそれで母親がまた新しい猫飼うからって」
「母親も人間じゃないね」
人の皮を被った外道だ、こんな連中間違っても人間じゃない。餓鬼か得体の知れない何かにしか思えない。
「それって」
「そう思うのが人間だ」
「そうだよね」
「こんな連中が人に何するかだ」
「自分が旅行行きたいから猫を保健所に捨てるとかね」
「しかも泣いている娘さんにだ」
「実質捨てろって迫るんだからね」
恫喝している場面が目に浮かぶ。
「凄いね」
「保健所の人も殺処分になると言ったけれどな」
「捨てたんだね」
「こんな連中は間違ってもな」
「捨てたら駄目だね」
「信じたらお前もな」
「ここぞって時にだね」
完全に相手の都合でだ。
「切り捨てられるね」
「それでお前が死のうがどうなろうかな」
「知ったことじゃないね」
「自分のことしかない連中なんだよ」
他の命なんかどうなってもいいだ。
「こんな連中は信じるな、近寄らせるな」
「それは絶対だね」
「そして助けてもな」
情を出してというのだ。
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