真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
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第11話 馬鹿x2+苦労人と少年A
ここ洛陽に来て数日が過ぎました。
姉上は仕事が多忙なようで、未だ会えていません。
私、正宗は毎日、地獄のようなお爺々様の猛勉強に付き合わされています。
お陰で鍛錬の時間もそうですが、睡眠時間がないです。
ああ、今このときも、す、睡魔が襲ってきます。
「これ、手がお留守じゃぞ、正宗よ」
お爺々様は、こつんと私の頭を叩いてきます。
こうやって、お爺々は、私の安眠を妨害してくださっています。
だいたい、お爺々様だって、居眠りをしているじゃないですか。
7歳児にこんな仕打ちをするなんて、これってDVじゃないですか?
う、訴えてやるっ!
私は自分の虚しい行動に、悲しくなってきました。
何が、悲しくて洛陽くんだりまで来て、こんな目に遭わなくてはいけないのでしょうか?
お爺々様、曰く。
「雑念を捨てさせるためじゃ。それに、将来、お前は儂にきっと感謝するじゃろうて」
そうですか、お爺々様。
私は返事をする気力もありませんでした。
「おう、そうじゃった!大事なことを忘れておったわ!」
お爺々様は何かに気づいたのか手を打ちました。
「正宗、喜べ。燐がお前のために、私塾を探してくれておったようだぞ。儂も足を運んでみたが、なかなか良いところであったぞ。念のためにいっておくがの。正宗、私塾は勉強だけが目的ではない、若いうちにいろいろな人物に会い、人脈を作ってゆく場でもあるのじゃ。故に、私塾では勉強ばかりするでないぞ。じゃが、成績が悪くならない程度じゃからな」
お爺々様は好々爺然と態度で言ってきました。
お爺々様、私塾で勉強なんかする訳無いじゃないですか!
勉強なら嫌と言うほど、お爺々様にさせられています。
私はこの話に内心にほくそ笑んでいました。
これで自由な時間が出来ます。
「正宗よ、あまり羽目を外すでないぞ」
私の考えが、表情に出ていたのか、お爺々様は一言注意してきました。
「はい、お爺々様。私塾にて、友達を沢山作りたいと思います」
「うむ、勉強もしっかりするのだぞ」
「ところで私塾へはいつから通うのでしょうか?」
「そうじゃな・・・。善は急げじゃ。私塾の先生の話では、いつからでもいいそうじゃ。今から、その私塾に行くかの。正宗、勉強は暫し中断じゃ。私塾の先生に挨拶行く故、準備するのじゃ」
私とお爺々様は私塾に向かうことになりました。
私の私塾生活は睡眠ライフを満喫できると、心湧き踊っていました。
そうこのときまでは。
「オ―――ホホホホ、ホホホ、斗詩さん。今日の予定は何かありまして」
私は袁家の長女、袁本初です。将来、私はいずれ、4代にわたって三公を輩出した名家の当主になりますのよ。
オーホホホホ、ホホホ。
「麗羽さま、特にありませんけど」
「猪々子さん、何かありませんの。非常に退屈ですわ」
「そうですね、姫―。上手いラーメン屋があるんですけど、そこに行きませんか?」
猪々子さんは、いつも食べ物のことばかりね。
「ラーメン、まあ、いいですわ。ちょうど、小腹が空いていたことですし、猪々子さん案内しなさい」
時には、下々の食事を味わうのもいいものですわ。
下々の食事を食べて、下々の生活を知る。
まあ、私って何て凄いのでしょうね。
「オ―――ホホホホ、ホホホ」
「姫、何が可笑しいんですか?」
「文ちゃん、麗羽様だから」
2人が何か話しているようですけど、気になりませんわ。
「オ―――ホホホホ、ホホホ」
「よくわからないけど、まぁいいや!姫、斗詩、行きましょうよ」
私達は、猪々子さんの案内でラーメン屋行くことになりましたの。
私とお爺々様は、私塾に向かい担当の先生に会いました。
先生からは、お爺々様の孫なので、きっと優秀な子だろうと期待していました。
お爺々様の「通儒」というネームバリューのお陰で、私にプレッシャーがかかります。
私は私塾で睡眠ライフを謳歌したいというのに・・・。
いろいろと雑談をした後、明日から私塾に行くことになりました
「正宗、そろそろ昼じゃな、どこかで何か食べるかの。何が良い」
「手軽な物でいいですね、お爺々様」
「何か上手いものでも食べさせてやろうかと思っておったのじゃが。そうか、じゃあそこらの食堂にでもいくかの」
単に、高級な店は肩が凝るし、落ち着かないだけなんですけどね。
それはお爺々様も一緒でしょうけどね。
どうも、私達の一族の者は、贅沢な生活をしたいと思う人が少ないですから。
私はお爺々様と一緒に近くの食堂に入りました。
「おっちゃん、ラーメン2杯に、ラーメン大盛り1杯とチャーハン1皿ずつ!」
「へい、かしこまりました」
元気の良い女の子が注文をしていました。
うっ!
よく見るとその女の子は見知っています。
彼女が座っている席には、見知った顔が更に2人いました。
面識があるわけじゃないですよ。
恋姫の知識で知っているだけです。
あの3人はどうみても袁紹と文醜、顔良ではないですか!
「どうしたのじゃ、ボーっとして。席に座るぞ」
私はお爺々様に促されて、空いている席に座りました。
お爺々様は、菜譜に目を通すと私に渡してきました。
「何がよい、正宗」
袁紹の存在に動揺した私は、彼女達に目立たないように菜譜で顔を隠しながら料理を選びました。
「ラーメンとチャーハンでいいです」
渡された菜譜を見て、私はお爺々様に言いました。
「そうか、なら儂もそれにしようかの。おい、店主。ラーメン2杯とチャーハンを2皿頼む」
「へい、かしこまりました」
何と言うか・・・。
あまり関わりたくない人達です。
特に、天然クルクルパーの金髪娘には・・・。
容姿は申し分ないんですが・・・、あの性格で無ければ、お近づきになりたいのですが、本当に惜しい人です。
まあ、あれだけの美女とお近づきになるのは無理ですね。
私はチート能力者ですが、イケメンではないので。
そう私は普通ですから。
言っていて悲しいです。
こういうとき北郷一刀を羨ましく思います。
そう言えば彼はこの世界に現れるのでしょうか?
可能性としてはあります。
面倒臭いことになりそうです。
彼が孫策達のところに、舞い降りたら、間違いなく目障りな存在になると思います。
彼は只の高校生で、文武に秀でているわけではない、一般人ですが、未来の知識はあります。
孫策の右腕、周瑜が彼を放っとく訳ないです。
周瑜は必ず、彼の未来の知識を利用すると思います。
もし、孫策の元に彼が現れるなら、警戒する必要があります。
彼には悪いですが、暗殺も視野に入れなければいけません。
今の自分には無理な話ですが・・・。
やはり、将来的には私の自由になる私設軍が必要かもしれないです。
「正宗、料理が来たぞ。食べるとするかの」
私が物騒なことを考えていると注文していたものが来たようです。
目の前には、ラーメンとチャーハンが並べられていました。
「うーーーん。おいしそうです」
「そうか、それは何よりじゃ」
私達は食事を始めることにしました。
私はラーメンを食べながら、袁紹達に気づかれないように視線を向けました。
彼女達も食事中のようです。
ラーメンはおいしいのですが、彼女達が気になって味わうことができません。
私は何事も無く、この食堂を出ていけることを祈りました。
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