八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十五話 親父と会う前にその九
「丁度クリスマスでな」
「ああ、僕は僕でね」
香織さんとデートだったことは伏せて答えた。
「別にね」
「よかったな」
「うん、そんな時はね」
「二人でか」
「水いらずでいいんじゃないかな」
夫婦でだ。
「やっぱりね」
「そんなものだな、中には一人で飲む人もいるけれどな」
「それもいいよね」
「男だけでカラオケに行くのも」
これもというのだ。
「いいんだよ、あとな」
「あと?」
「愛犬や愛猫と暮らすのもな」
クリスマスの夜をだ。
「それもな」
「いいんだね」
「ああ、ただな」
ここで親父はこうも言った。
「犬も猫も家族だ」
「大切なね」
「それは一生じゃないとな」
「その犬や猫のね」
「いるだろ、子供が出来てそれまで可愛がっていた犬や猫を無視して」
親父は僕にそうした飼い主の話もした。
「それで鳴き声が五月蠅いとか言ってな」
「捨てるんだね」
「こんな奴は最低だからな」
「そうだよね」
「こんな奴が患者に来てな」
「お医者さんならだね」
「助けるけれどな」
医師の義務、それとしてというのだ。
「けれどそんな奴はそれ以外だとな」
「助けないんだね」
「ああ、患者さん以外だとな」
「まあそうだよね」
「生きものには命があるんだ」
親父はいつもの飄々とした明るい口調でなく真面目な口調で僕に言った。
「だからな」
「命を粗末にする人は」
「俺は嫌いだからな」
「患者さんとして以外にはだね」
「助けないさ、捨てられた犬や猫はどうなるんだ」
「保健所に連れて行かれたりね」
最初から保健所にいらないと言って捨てる人がいる、生きものはおもちゃじゃないと僕も言ってやりたい。
「あと野良になって」
「そうなるな」
「家族に捨てられてどれだけ寂しいか辛いか」
「そんなこともわからないんだからな」
「最低だね」
「若しその犬や猫を家族だの宝だの言ってたならな」
その捨てた人達がだ。
「そいつは絶対に信用するな」
「人間にもそうするね」
「そうだ、自分の都合でな」
「飽きたり興味がなくなったり」
「自分の都合が悪くなってな」
正直どれも自分勝手なことこの上ない理由だ。
「それでだ」
「捨てる様な人は」
「相手が人間の友達でも家族でもな、犬や猫とかいうんじゃない。命を平気で捨てるんだからな」
「人間も命だから」
僕もわかった、
「人間も平気で捨てるね」
「自分の都合でな、だからな」
「信用したら駄目だね」
「絶対にだ、人の下半身を攻撃する奴とだ」
それにというのだ。
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