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ユーノに憑依しました

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デバイスの説明をしました

 風呂場でクアットロを物理的に締め落としてドゥーエに任せた後、俺はすずかの部屋に再び転移した。


「待たせたな」
「ううん、今お風呂から上がった所だし、晩御飯も今からだから一緒に食べない?」
「ああ、頂こう、今日は飯を作る気になれなくてな」

「やっぱり怒ってる?」
「いや違う、ついさっき色々あったんだ、色々な」
「知らない女の子の匂いがするのはそう言う事?」

 背筋に寒気を感じてすずかを見ると、キョトンとした顔で俺を見つめていた。

「風呂に入って来たんだが、そんなに匂うか?」
「うん、なのはちゃんとアリサちゃん、はやてちゃんに桃子さん、わたしと
 後は知らない人の匂いが三人くらいであと一人は誰だろう? 何処かで嗅いだ事のある匂いなんだけど?」

 おいおい、リーゼロッテの匂いじゃねえのかそれ?

「鼻が良いんだな、12時間以内に会った人物当てまくってるぞ」
「ユーノ君と会った日は感覚が鋭くなるんだけど、今日はずっと続いてるみたい」
「酷くなったりしたらちゃんと言えよ? いくつか試すから」
「そんなに酷い物でもないから」
「ならいいけどさ」

「それじゃ、行こうか、アリサちゃんが待ってるし」
「ああ、腹を空かせたアリサは手に負えなさそうだ」
「そんな事ばっかり言ってるとアリサちゃん怒っちゃうよ?」
「構って欲しくて尻尾を振りまくってるアリサしか思い浮かばん」
「ユーノ君酷いよ~」

「すずかにはアリサの尻尾が見えないのか?」
「……す、少しだけ」
「お前も同罪じゃねえか」
「違うよー」
「こらー、二人でいちゃついてないでさっさと来なさい! 忍さんも待ってるんだからー」
「へーい」

 すずかの両親、忍さんと一緒に食べた料理は美味かった……何とかしないとな。

 夕食も終わって再びすずかの部屋へ、本題のデバイスの説明に入る。

「システムを弄って魔力残量がカウントダウンされるようにした、00カウントまで表示されて魔力切れだ」
「今のカウントは64? で合ってるのよね?」
「ああ、キーワードをいくつか設定したから色々試してみると良い、『足を早く』とか『守って』とか大抵の言葉は実行できるぞ」

「『空を飛びたい』とか?」
「うむ、さっきも言ったが、やれて真上に三メートルだ、『壁を走る』とか『水を歩く』とかも『消える』が発動するから、魔力消費も馬鹿でかい」
「そうだよね、空を飛んだり水の上を走ったりしてるの見られたら大変だよ」

「デバイスを通しての会話も『音を消して』が発動するから通信中は口元を押さえとけよ?」
「キーワードの声も周りには聞こえてないの?」
「口が動いてるのだけは分かるな、あと『開けて』で大抵のロックを解除できるからな、蛇口捻ったり錆びた鍵穴から金庫まで」

「……それ、警察に捕まるんじゃないの?」
「自分で判断しろって言っただろ、『閉めて』ならドアが開かなくなるし、壁もある程度強化されるから少しは持つぞ」
「やっぱり出来ない事が一番魔力使うんだね」

「常時消費系が弱点だな『足を早く』はまだ停まれば消費を抑えられるが『サーチャー』とかはギリギリだろうな」
「サーチャー?」
「『向こうが見たい』って所だな、チョイとやるからデバイスを握って目を閉じてくれ」

 アリサとすずかが大人しく目を閉じる……悪戯したいが真面目に行こうか。

「目は閉じとけよ、慣れてないうちに開くと混乱するからな」
「あ、凄い、目を閉じてるのに部屋が見える」
「ちょっとぼやけてる感じがするわね」
「アリサの方は微調整するか、こんなんでどうだ?」
「グッド、丁度良いわ」

「んじゃ、そっちで動かせるようにするからな、俺に繋いであるから魔力の心配はするな」
「すごーい、ラジコンに乗ってるみたい」
「ぶん回すと目が回ったり気分が悪くなるから気をつけろよ?」
「りょうかーい」

 サーチャーが部屋の中や廊下、外にでたり屋根の上に行ったり来たりしている。

「あ、今目を開くとこんな感じなんだ、アリサちゃん目を開けると面白いよ」
「おー、ちょっと変な感じするけどすずかの背中が良く見えるわ」
「コレいくつ?」
「2」
「コレは?」
「4、へー、何かゲームやってるみたい」

「使い方は色々だな、何個もサーチャーを使いながら走ったり飛んだり、やっぱり見えない所を見るのに便利だよ」
「今のでどれくらい魔力使ったの?」
「二人で約6000カウントかな?」
「6000!? たったアレだけの時間で!?」
「ずっと映像を送ってるし、動かす為に魔力繋いでるし、他にも色々と魔力食ってるな」

「わたし達のデバイスって何処まで溜められるの?」
「満タンで大体300カウントって所だな、お前達だけでやるなら写真一枚撮って観るくらいで魔力切れだろ」
「空飛ぶよりも損してるじゃない!?」

「何も無い所に魔力を放り込んで映像を持って帰るんだぞ? デバイスから離れたら消費するのは当たり前だろ」
「じゃあ、一番長持ちする使い方って?」
「『足を早く』だな、次が『力を強く』だ、押したり持ち上げたりしている間だけ消費するし」

「だったらバリアジャケットは?」
「本物だったら億とか兆の世界だからなあ、俺が設定してるのは着ている服が丈夫になる程度だし」
「……なのはなら出来るの?」
「俺よりも強いからな、さて説明を続けるぞ、此処にロープと鎖がある」

 ジャラリと鎖が鳴る。

「何処から出してるのよ!?」
「魔法で空間を弄ってるんだよ、布団だって出せるぞ?」

 寝袋に毛布、敷布団、枕に湯たんぽ……等々。

「出さなくていい、もう出さなくて良いから!!」
「ああ、ユーノ君の匂いが……」
「……さて、話を戻すが、アリサ両手を出せ」
「はい」
「ロープと鎖を巻くぞ、コレで『外す』『解く』『開ける』のどれかで良いんだが、こうするとな」

 俺はアリサの腕に巻いたロープと鎖を握り締めると魔力を籠めて融合、円にして外れなくした。

「開ける事も解く事も出来なくなった時は『壊す』とか『切る』でなんとかなる」
「『壊す』」

 アリサの声に反応して鎖とロープが弾ける。

「『壊す』は結構魔力食うから『切る』で節約する事も出来るな、後は『ずらす』ってのもある」

 鎖の一つに魔力を籠めて手品の様に一個だけ引き抜く。

「マジで『種の仕掛けもございません』ってか、コレは魔力が桁違いだから止めといた方が良いがな」
「『ずらす』って言うのやらせて」
「ほい、魔力繋いだぞ」
「よし!」

 アリサとすずかが鎖をプチプチと千切ってバラバラにしていく。
 今度は鎖を元に戻したりして遊んでる。

「遊んでる所で悪いがコイツを見てくれ」

 一本の角材を取り出して二人に見せる。

「コレに鎖を『ずらす』もしくは『入れる』」

 角材に鎖が吸い込まれて、バキンっと音を立てて角材が折れて中に鎖が見えた。

「コレを人にやったらどうなるか分かるか?」
「危ないよ!?」
「死んじゃうんじゃないの!?」

「もちろん、頭の中とか心臓にやったら死ぬな、気を付けろよ?」
「気を付けろって、危なくて使えないじゃない!?」
「時と場合を考えて使えば問題ない、やったらどうなるか? って考えるのは大事だぞ?」
「思ってたよりも危ない事ばっかりだね」
「まあ、基本は『丈夫な服』と『足を早く』ぐらいで『力を強く』と『消える』で問題無いと思うけどな」

「傷を治したりは出来ないのかな?」
「出来ない事はないけど、結構魔力食うぞ? それに爪が剥けても元通りになる訳じゃないし、血が出なくなるだけだな」
「どれくらい魔力を使うの?」
「あの時の傷で一つや二つ治したら魔力切れだな、治すよりなのはを呼んだ方が良いぞ?」

 前にちょいとした事件があった、そして色々あった、そりゃあもう色々な。

「ねえ、このデバイスくれるのって、あの時のせい?」
「……そうだな、大正解」
「……そっか……ありがとうね」
「わたしからも、ありがとう」
「……さて、明日は月曜日だろさっさと寝ちまえ」

 散らばった木片やら鎖を魔法空間に突っ込む。
 うむ、綺麗に片付いた。

「一緒に寝てくれるんだよね?」
「……空き部屋があったよな?」
「アンタの為に泊まりに着たんだから、真ん中に寝なさい、すずかと半分こよ」

 袖を引っ張られる……しかたないか。

「へいへい、お姫様、煮るなり焼くなり好きにして下さい」

 魔法空間から毛布を取り出して真ん中に寝る、何やらすずかが危ない発言をしていたような気がするが何も聞こえなかった。 聞こえなかったんだ。 
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