| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百十三話 休める時はその十二

「二十八日に一緒に飲むってことですが」
「明日は八条荘の忘年会で」
 二十六日はだ。
「その日は止様と楽しまれて下さい」
「そうします、しかし親父はあれで徳を積んでますね」
 このことをあらためて思った。
「命に関わる人でお金がなくても」
「手術をされますね」
「もう迷わずに」 
 こうしたことは何度もあった。
「義侠心は強いですから」
「だからですね」
「お金持ちからは思いきり貰いますが」
 その手術代をだ、だからお金も困っていない。それでお酒に女の人にと遊ぶのが親父のスタイルだ。
「払えない人なら」
「命に関わることなら」
「迷わないです」
 助ける為に動く。
「それが善人でも悪人でもですが」
「左様ですね」
「医師は患者を選べないって言っています」
「例えそれがどんな悪人であっても」
「そう言って助けます」 
 そうした意味で分け隔てはしない人だ。
「絶対に」
「そのこともです」
「親父のいいところですね」
「お金持ちしか助けないお医者様もいますが」
「それは偽って感じですね」
 親父のスタイルを見るとだ。
「そうですね」
「左様ですね、それはです」
「あくまで、ですね」
「はい、やはり間違っています」
「お医者さんなら」
「人の命はどなたでもです」
 それこそというのだ。
「助けられるものならば」
「助けるべきですね」
「それが筋かと、止様はそこ超えておられますが」
「お金を払わなくてもですからね」
 その命が助けられるならだ。
「それも躊躇しないで」
「それはです」
「凄いところですね」
「尊敬出来ます、医術は仁術といいますね」
「華佗の言葉ですね」
 三国志にも出て来るあの医師だ、ただ演義では名士になっているけれど実は当時医師の社会的地位はかなり低かったらしい。
「確か」
「はい、ですがそれを知らない人もです」
「多いですね」
「そのお医者様でも」
「現実はそうですね」
「お金や権力のことばかりをです」
 大学の医学部の教授とかにだ、そして総合病院の院長もある。
「考える人がです」
「いますね」
「大きな大学病院の院長になる」
「それに必死な人もいますね」
「そしてなって」
 念願の地位と言うべきか。
「あの白い巨塔の様に」
「財前教授ですね」
「往来の診察に多くの人を従える」
「そんな人になるんですね」
「一見して権威で権勢がありますが」
「精々日本の医学界だけのことですね」
「海外ではです」 
 外の世界ではだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧