八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十三話 休める時はその十
「そこまでの人間ではです」
「ないですか」
「西本さんの様な人をです」
「尊敬すべきですか」
「はい、そして自分を尊敬しろと真顔で言う人なぞ」
「間違っても尊敬してはいけないですね」
「そんな人は軽蔑されるべきです」
尊敬されるどころかというのだ。
「むしろ逆に」
「そうした人ですね」
「はい、尊敬はされたくてされるものではないです」
「自然とされますね」
「そしてその重さを知っているなら」
それならだ。
「されたくないものです」
「そういうものですね」
「尚こう言った人は自分のお子さん達やお孫さん達からもです」
「嫌われていましたか」
「今も」
「そうなんですね」
「そしてお墓にもです」
そこにもというのだ。
「入れたくないとまでです」
「言われていますか」
「もうおられますが」
お墓にというのだ。
「そうも言われています」
「徹底して嫌われてますね」
「そこまでの人ということです」
尊敬されるどころかだ。
「この世を去ってもです」
「徹底的に嫌われる人ですね」
「人はそうなれば」
もうというのだ。
「どれだけ嫌か」
「そうですよね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「私はそうした人にもです」
「なりたくないですね」
「人間そこまで嫌われるということは」
「どういった行いをしてきたか」
「その人は八十年近く生きましたが」
「その八十年近く何も徳を積まなかったんですね」
「徳どころか害毒だけをです」
まさにそれのみをというのだ。
「撒き散らしてきました」
「そんな人生嫌ですね」
「それで死んで餓鬼になったとさえ言われています」
「餓鬼道に堕ちたんですね」
「そう言われています」
「餓鬼道ですか」
「あの非常に苦しい道です」
餓鬼道はそうした道だ、常に飢えと渇きに苦しむ。地獄も嫌だけれどこちらもかなり嫌な世界だと思い。
「そこにです」
「堕ちて」
「そしてです」
そうなればというのだ。
「苦しんでいるとです」
「同情なくですね」
「言われています」
「そこまで嫌われることをしていたんですね」
「その人生において」
「それじゃあ生きていても」
八十年近く生きていてもだ。
「意味がないですね」
「左様ですね」
「やっぱり生を受けたら」
「ある程度徳を積みたいですね」
「そして努力して」
そうしてだ。
「己を高めたいです」
「左様ですね、ですが」
「その人はずっとですか」
「努力をせず」
「徳を積まず」
「ただ害毒ばかり垂れ流し」
そうして生きていてというのだ。
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