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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十三話 休める時はその九

「今もです」
「そうでしたか」
「軽蔑されなくないですが」
「尊敬もですね」
「怖いものとです」 
 その様にというのだ。
「考えていまして」
「それで、ですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そのどちらもです」
「お嫌ですか」
「軽蔑は嫌で尊敬は怖いです」
 それぞれの念を持たれることはというのだ。
「言うならば」
「軽蔑は嫌で」
「はい、尊敬は怖いのです」
「それぞれ違う感情ですね」
「左様です、尊敬の重さを思えば」
「怖いんですね」
「そして軽蔑は嫌です、ただ軽蔑される方が」
 こちらの方がというのだ。
「尊敬よりはましかと」
「嫌でもですか」
「尊敬の重さは怖いので」
「だからなんですね」
「そうです、しかし」
 畑中さんは僕にこうも話してくれた。
「人を尊敬出来ることは素晴らしいことです」
「そのこと自体はですね」
「ある人は西本幸雄さんを心から尊敬しています」
「阪急と近鉄の監督だった」
「あの人を」
 一年だけだったが大毎の監督もしていた、元々は毎日の選手で毎日と大映が合併して出来たこのチームにいたことからだ。大毎は今はロッテとなっている。
「尊敬していますか」
「はい、あれだけのことをされた人なので」
「畑中さんより少し上の人ですね」
「そうですね、あの人も戦争に行っていました」
 畑中さんと同じくだ。
「中国戦線で高射砲部隊に所属していました」
「それでずっと野球をしていて」
「立教大学でもそうで」
「それで、戦後職業野球にいたんですよね」
「毎日に入るまでは」
「そうでしたね」
 このことは僕も聞いている。
「それでプロ野球がニリーグになって」
「その頃に毎日に入団しまして」 
 そしてだったのだ。
「それから監督になってです」
「阪急も近鉄も優勝させましたね」
「両方共弱小球団でした」 
 本当にはリーグのお荷物だった。
「しかしです」
「その阪急も近鉄も優勝させましたね」
「選手を鍛え上げて」
「そうでしたね」
「人間としても非常に立派な方でした」
「よく言われますね」
 指揮官として優秀なだけでなくだ。
「そうでしたね」
「はい、野球にひたむきで生真面目で公平で」
「清廉潔白な人でしたね」
 曲がったことはしない様な人だった。
「だから多くの人が慕ったんですね」
「選手だけでなく」
「そうした人でしたね」
「ですからあの人を尊敬する人もです」
「多いですね」
「そうです、あの人でしたね」
 西本さんならというのだ。
「尊敬する人がいても道理です」
「そこまでの人ですね」
「ですが私は」 
 とてもという口調での言葉だった。 
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