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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十三話 休める時はその八

「軽蔑されます」
「それが当然ですね」
「そうです、そして止様も」
「それを知っているからこそ」
「そう言われているでしょう」
「そうなんですね」
「まことに尊敬は重いことです」
 このことは僕も実感してきた、今特に。そのうえで畑中さんの言葉を聞いていた。重い言葉だと思いながら。
「それをわかることも大事です」
「迂闊に人を尊敬することもですか」
「危険です」
「その人の一面を知るだけだと」
「よくないです、しかし真顔で人に自分を尊敬しろと言う人なぞ」
「それだけで駄目ですね」
「人間性を疑います」
 その時点でというのだ。
「私はそうした人も見てきましたが」
「その人どんな評判でした?」
「最悪でした」
 返事は一言だった。
「誰からもです」
「尊敬なんてされないで」
「忌み嫌われていました」
「やっぱりそうでしたか」
「お葬式等で親戚が集まっても」
 その時もというのだ。
「誰からも声をかけられませんでした」
「そこまで嫌われていたんですね」
「顔も背けられていました」
「そうでしたか」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうした人でした」
「人間そうはなりたくないですね」
「尊敬しろと言っても人間として長所なぞ」
「なかったんですか」
「もう筆舌に尽くし難い人でした」
「そこまで酷かったんですね」
「はい、存在しているだけで害毒を撒き散らす様な」
 そこまで酷かったというのだ、正直畑中さんがここまで言うのだから一体どんな人なのかとさえ思った位だ。
「そうした人でした」
「生きているだけで」
「まさに」
「ヤクザ屋さんだったんですか?」
「そうではなかったですが」
「それでもですか」
「狂気に陥っている様に常にヒステリーを起こし」 
 そうしてというのだ。
「遊ぶだけで働かず子育てもせず不平不満ばかり言い」
「何か凄いですね」
「図々しく恥知らずで何の努力もしない」
「そんな人でしたか」
「しかも極めて自己中心的でした」
「本当にいいところないですね」
 聞いていて心から思った。
「そんな人だったんですね」
「ですから誰もです」
「尊敬するどころか」
「忌み嫌っていてです」
「相手にしなかったんですね」
「そうでした」
 まさにという言葉だった。
「まさに」
「どの人も」
「そして私はです」
「そうした人も見て」
「そしてです」
 そのうえでだったというのだ。
「私は尊敬されたいとはです」
「思わなれない様になりましたか」
「その人も反面教師にして」 
 そしてというのだ。 
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