八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十三話 休める時はその五
「そう言う人は」
「絶対にそうなりますね」
「そうした人こそ振る舞いは酷いものなので」
自分を偉いと思い込んでその振る舞いを振り返らないからだ。
「それで、です」
「かえってですね」
「軽蔑されます」
尊敬されるどころかだ。
「そうなります」
「それが落ちですね」
「そうです、ですが止様はそうしたことも決して言われないので」
「そこがいいですね」
「はい」
このことについてもだ。
「そうしたことはです」
「言われたことはなく」
「逆にです」
それこそだ。
「俺みたいなって」
「そう言われて」
「それで、です」
「尊敬するな、ですね」
「いつもそう言ってます」
それも笑ってだ。
「尊敬されるのは嫌だって」
「人からですね」
「僕だけじゃなくて」
「私は止様は尊敬出来る方だと思いますが」
「立派なところも多いですから」
「ですがあの方はわかっておられるのです」
「尊敬のことがですね」
僕はこのことがわかった。
「親父は」
「そうです、尊敬されることはです」
それはというと。
「重いものです」
「人の憧れや敬意を背負うので」
「はい、それに応えようとすると」
「辛いですね」
「そうです、ですから尊敬されることは」
「嬉しいことかも知れないですが」
「重いのです」
そうしたものだというのだ。
「それもかなり」
「だから親父もですか」
「尊敬されることを重いと思われ」
そしてというのだ。
「自分はそれを背負えない」
「そう思っていますか」
「そうだと思います」
「そうなんですね」
「私も怖いです」
「畑中さんもですか」
「尊敬されることは」
その重さを思えばというのだ。
「ですから人に自分を尊敬しろなぞは」
「畑中さんもですか」
「言えないです」
そうだというのだ。
「とても」
「そうですよね、重いものを背負う」
「その自覚がないので」
「そんなことが言えますね」
「まして尊敬が失望や幻滅に変われば」
「その人の期待を裏切りますね」
「そしてその尊敬がです」
自分に向けられていたプラスの気持ちがだ。
「軽蔑や憎悪、嫌悪に変わる」
「それは嫌ですね」
「これは誰でもです」
それこそというのだ。
「嫌なものです」
「ですね、ぞっとします」
「止様はそのこともご存知かと」
「というか親父は」
今思うとだ。
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