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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十一話 クリスマスだからこそその六

「私は常に思っています」
「勝海舟さんについて」
「剣道において目標としています」
「同じ流派の先達として」
「そうです、まあ問題もある人でしたが」
「船酔いして航海中は何も出来ないで」
 咸臨丸でアメリカに行く途中はだ、大嵐にも遭って大変だったのにだ。
「それで港に着いて大きなこと言ったんですね」
「学問がある人でお人柄はまさに江戸っ子でしたが」
 それもいい意味でだ、吉本隆明みたいにそれがどうしたんだと言われる様な人ではなかったことは間違いないみたいだ。勝海舟があのカルト教団の教祖を偉大とか最も浄土に近い人だとか言う筈がない。それだけの見識があるというかこんなことその辺りの子供でもわかる。戦後最大の思想家は子供以下ということだ。
「兎角口が立ち所謂はったりがです」
「ある人で」
「それが問題だったので」
「そこはですね」
「私は好きではありません」
 畑中さんとしてはというのだ。
「日清戦争にも反対していましたし」
「あの戦争は」
「しなければ」
 日本にとってだ。
「危ういものでした」
「そうでしたね」
「敗れてもです」
「そこは日露戦争と同じですね」
「アジア人同士が争うことをどうかと思ってですが」
「それでもですよね」
「日本を守る為には」
 日本という国自体をだ。
「仕方ない」
「せざるを得ない戦争でしたね」
「それで日本も選択しました」
「そうでしたね」
「ですがこの人もおそらくですが」
 あくまで予想だが、というのだ。ここで。
 僕達はサウナを出てお水を被ってから水風呂に入った。僕は二度目で畑中さんは一度目になるこの朝の水風呂の入浴だ。
「日露戦争はです」
「すべきとですね」
「言っていたでしょう」
「あの戦争はですね」
「アジア人同士の戦争ではないだけでなく」
「日清戦争以上の危機でしたね」
「ロシアは清以上に野心があり」
 不凍港を求めてだ、そして領土拡張だ。
「朝鮮半島に進出し」
「日本も狙っていましたね」
「既に李氏朝鮮はその中に入っていました」
 よりによって国王がロシア大使館に逃げ込んでそこで執務を行って自分が治める国の利権をロシアに切り売りしていた。
「そうした状況だったので」
「もうロシアが迫っていて」
「刀を抜かねば」 
 さもなければだ。
「次は日本でした」
「飲み込まれていましたね」
「そうした状況でしたので」
「戦わざるを得ず」
「そして戦って」
 そしてだったのだ。
「何とか勝ったのです」
「そうした戦争でしたね」
「その戦争ならばです」
「勝海舟さんもですね」
「支持していたかと」
 僕に水風呂の中で話してくれた。
「あの人も」
「あの戦争ならですね」
「そうかと。もっともあの戦争に反対していた人は」 
 当時の日本ではだ。 
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