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八条学園騒動記

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第六百七話 やっと終わったその二

「暴れることは論外だから」
「そうしたら捜査出来ないわよ」
「うん、墓堀りと棺桶の二人もね」 
 元々はアフリカ系アメリカ人のコンビの刑事だがこの時代の連合ではアフリカ系とは限らなくなっている。これは連合の混血が進んでいるからだ。純粋なアフリカ系つまり黒人も稀になっているのである。
「バイオレンスはあっても」
「それでも熟考はするわよね」
「殴る蹴る撃つはあっても」
 この二人のシリーズの売りでもある。
「頭も切れてね」
「それで推理もするわね」
「だから間違っても」
 それこそというのだ。
「カーリー女神の様にね」
「荒ぶるとはならないわよね」
「そう考えたらカーリー女神と推理は」
「合わないわね」
「ヴィシュヌ神とかならね」 
 ヒンズー教の調和の神で広く信仰されている。
「まだわかるけれど」
「それでもよね」
「どう考えても探偵がね」
「信仰する女神様じゃないわね」
「絶対にね」
「連合だとそう考えるわね」
「そう思うよ」
 こうエイミーに話した。
「僕はね」
「そうよね」
「けれどマウリアだから」
「それでもいいのね」
「そうみたいだよ」 
 連合の人間には理解出来ない話だが、というのだ。
「このこともね」
「そうなのね」
「だから作中でもそのことを突っ込まれないし」
「ワトソンさんはワトソンさんで戦いの女神信仰してるわね」
 ドゥルガー女神のことに他ならない。
「やっぱり推理とは別よね」
「その女神様も荒ぶる神様だからね」
 十本の腕に持ったそれぞれの武器で悪を容赦なく倒す女神である、尚この女神が怒った姿即ち憤怒身がカーリー女神である。
「だからね」
「それでよね」
「推理にはね」
「向かないわよね」
「そう思うよ」
 これがというのだ。
「僕も」
「そうよね」
「だからね」
 それでというのだ。
「僕が見てもね」
「合わないわよね」
「それでも本当に作中でおかしいと言わないから」
 探偵が荒ぶる神を信仰していてもだ。
「このままね」
「観ていくことね」
「あと一時間位だし」
 残された上映時間はというのだ。
「だからね」
「観ていくことね」
「そうしていこうね」
「物語は核心に近付いているのかな」 
 シッドは首を傾げさせて言った。
「これで」
「上映時間を見たらね」 
 トムはシッドにもこのことを話した。
「やっぱりね」
「終わりに近付いているんだ」
「そうなるよ、五分の四は進んでいるから」
「上映時間を見たら」
「だからね」 
 それでというのだ。 
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