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八条学園騒動記

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第六百七話 やっと終わったその一

               やっと終わった
 映画は続いた、展開は紆余曲折どころか波乱万丈でありシッドはトムに上映時間が四時間になったところでこんなことを言った。
「あの、今もまだね」
「真犯人が誰かわからないよね」
「もう四時間やってるのに」
 それでもというのだ。
「全くね」
「僕もだよ」
 トムもこう返した。
「バッヂは出たけれど」
「何か有耶無耶になってない?」
「なってるね」
「重要なことと思ったら」
「それがね」 
 そのことがというのだ。
「何時の間にかね」
「どうでもよくなっていて」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「今はね」
「何かまた訳がわからなくなってるね」
「そうなってるね」
「カーリー女神にお祈りしてるけれど」
 エイミーはホームズがそうしているのを観た。
「知恵を授けて下さいとか」
「だからそういう女神様じゃね」
「ないわよね」
「その筈だけれど」
 トムは従姉に答えた。
「けれどね」
「それでもよね」
「もう普通にね」
 ごく自然にというのだ。
「お祈りしてるね」
「そうよね」
「マウリアは信仰が重要な国だし」
 このことについては連合以上だ、むしろ連合の者達は自分達は信仰心が希薄だと自省しているふしがある。
「だからね」
「お祈りは欠かせないのね」
「だからそれ自体はね」
 祈ること自体はというのだ。
「いいけれど」
「それでもよね」
「だからカーリー女神はね」
「破壊と殺戮の女神様だから」
「荒ぶってるから」
 そうした神だからだというのだ。
「知恵はね」
「あまり感じられないわね」
「愛嬌はあるけれど」
 そこも人気の素であるのだ。
「けれどね」
「それでもよね」
「どうしてもね」
 このことはというのだ。
「本当にね」
「このことは」
「まして推理には」
 それこそとだ、トムは言った。
「どう考えても」
「場違いよね」
 エイミーも言うことだった。
「というかお門違い?」
「この場合はお門違いでいいと思うよ」
「そっちね」
「うん、少なくとも普通の組み合わせじゃないね」
「連合だとね」
「カーリー女神は本当に荒ぶる神様だから」
 それ故にというのだ。
「推理は熟考するものだけれど」
「決して暴れないわよね」
「行動はするけれど」
 それでもというのだ。 
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