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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百八話 最高の雪その十二

「神戸でこの日に降るなんて」
「滅多にないのね」
「冬でもね」
 雪の季節でもだ。
「今日、クリスマスに降ることはね」
「なかったのね」
「ずっとね、さっき話した通りね」
「それでも降ってきたわね」
「これは珍しいね」
 天気予報でも晴れだったしだ。
「何年ぶりかな」
「そこまで珍しいのね」
「山の方には降るけれどね」
 六甲の方にはだ。
「それでもね」
「こうして神戸の街に降るのは滅多にで」
「その滅多にないことが起こったから」
 今も降っている、僕はその中で言った。
「運がいいね」
「そうね、ないと思っていたのにね」
「ホワイトクリスマスになったね」
「文字通りに」
「こんないいことはないよ、じゃあ」
 僕は香織さんに微笑んで話した。
「このままね」
「帰るのね」
「そうしよう」
 八条荘までとだ、僕は香織さんに提案した。
「これからね、二人でね」
「雪の中をなのね」
「傘が必要だけれどね」
 雪にも傘が必要だ、このことは仕方がない。
「けれどね」
「傘ね」
「丁度持ってるし」
 鞄の中から出した、いつもいきなりの雨とかに備えて持っているのだ。折り畳み式の傘は本当に有り難い。
「これに入って」
「折り畳み式なら私も持ってるけれど」
「ああ、僕の傘に入ろう」
「そしていいの?」
「二人だしね」
 それで一緒にいるからだ。
「それじゃあね」
「二人でなのね」
「同じ傘に入って」
 そうしてだ。
「そのうえでね」
「一緒に帰ればいいわね」
「そうしよう」
「わかったわ、じゃあね」
 香織さんも頷いてくれた。
「二人でね」
「同じ傘に入ってね」
「帰りましょう」
「今からね」
「もう少し観ない?」
 香織さんはここでこう僕に言ってきた。
「イルミネーションを」
「そうする?」
「どうかしら」
「そうだね」
 僕は少し考えてから香織さんに答えた。
「それじゃあね」
「二人でね」
「もう少し観ていよう」
 僕も悪い気はしなかった、それでだった。
 二人で一緒にイルミネーションを観続けた、世界の色々な童話のキャラクター達が笑顔で一緒にいるその光の絵は本当によかった。そこには融和と平和の素晴らしさがあった。


第三百八話   完


               2020・11・15 
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