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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十九話 リムルル、狐を見るのことその八

「そうなのね」
「ええ、それは本当にね」
 リムルルはそのキングにも話した。
「人間なんだけれど」
「よく人面獣心っていうけれど」
 キングがここで言うことはこのことだった。
「それになるかしら」
「獣、そういえば」
「そうなりますね」
「リムルルちゃんのお話を聞くと」
 軍師三人もキングの話で気付いたのだった。
 そうしてだ。三人で話すのだった。
「じゃあ。司馬尉さんの心は妖怪のもの?」
「そうなる?」
「そんなことがあるなんていうのもはじめてだけれど」
 少なくともこれまで、気付いている限りでは完全な人間だけを相手にしている彼女達ではわからないことだった。どうしてもだ。
「妖怪なら」
「妖怪の心だけれど」
「そんな。人間がなんて」
「少なくとも怪しいのはわかるけれど」
「それでもね」
「何が何なのか」
 わからないと話していくのだった。天下随一の軍師達にもわからないことだった。
 そしてだ。このことは。
 曹操や袁紹、孫策の軍師達も別の世界から来た者達もだ。全くだった。
 わからなかった。本当に誰一人としてだ。 
 誰からも明確な返答を得られずだ。リムルルは。
 狐、あの狐とは別の普通の狐に抓まれた顔でだ。こう姉のナコルルに話した。
 今も茶を飲んでいる。そうしながらの話だった。
「邪神とかそういうのは相手をしてきたのに」
「それとはまた違う感じなのね」
「うん。とにかくわからないわ」
 リムルルは今もこう言ってぼやくばかりだった。
「普通。そんな妖怪とかって」
「そんな簡単なのじゃなくて」
「もっと別の」
「何ていうのかしら」
 ナコルルにさらに話していく。
「心が決定的に違っていたのよ」
「アンブロジアや壊帝とも全く違っていて」
「そう、全然異質よ」
「みたいね。ただね」
「ただ?」
「司馬尉さんも間違いなく」
 どうかというのだ。その司馬尉は。
「この世界によからぬことをしようとしているわね」
「それは確実なのね」
「ええ。あの狐は私も聞いたことがあるし」
「誰から聞いたの?」
「十兵衛さんからよ」
 聞いてのはだ。彼からだった。
「あの人が教えてくれたの」
「ああ、あの人が」
「あと狂死郎さんからも」
 彼からも教えてもらったというのだ。
「歌舞伎の題目にもあるんだって」
「ふうん、そうなの」
「その舞台は観たことがないけれど」
 それでも知っているというのだ。
「世を乱す存在だから」
「かなり悪質な妖怪というか邪神よね」
「そうした意味ではアンブロジアと同じね」
 邪神という意味においてはだった。
「そうなるわね」
「ううん、厄介なのがまた出て来たわね」
「そうね。本当にこの世界は」
 どうかというのだ。この世界は。
「よからぬ存在が集ってるわね」
「そうね。それは確かね」
 こうした話を姉妹でもするのだった。謎はさらに深まっていたのだった。
 そしてその謎はだ。彼等の知らないところで一つになっていた。そのうえで全てを覆い尽くそうとしていた。


第九十九話   完


                        2011・7・22 
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