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夢幻水滸伝

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第百九十一話 海の中の星達その五

「しかしな」
「それ以外はですね」
「別に過酷なことしてへんやろ」
「はい、穏やかですね」
「おおらかでええわ」
 ハウオファはその太く低い声で言った。ラガーマンや力士のそれを思わせる声だ。
「政も他のこともな」
「我が国らしく」
 亀人の中年の男も言って来た。
「左様ですね」
「そや、トンガはそうした国やろ」
「穏やかでおおらかです」
「その国民性に相応しくな」
「モンスターや賊の退治以外は」
「おおらかにな、争わんで済んだら」
 それならというのだ。
「もうな」
「それでいいですか」
「神星の人がオーストラリアにおるんやったら」
「その方の統一で、ですか」
「ええわ、トンガの国土と民が幸せなら」
 ハウオファは海と空そしてその中にあるトンガの島々と浮島達を見つつ話した。
「それならな」
「いいですか」
「そう思ってる、それでこれからやが」
 話をここで変えた。
「この船はな」
「押収してですね」
「トンガの船にするで」
 そうして使うというのだ。
「ええな」
「わかりました」
 皆彼の言葉に頷いてだった。
 海賊船だった船は実際に押収し自分達のものとして使った、こうしたこともしながらハウオファはトンガの内政を進めていたが。
 それに余裕が出て来た時にオセアニアの各国にこれからのことを話そうかと考えていたその矢先にだった。
 トンガに一隻の空船が来たと聞いて眉を動かした。
「他の国からの空船か」
「はい、パラオの旗を掲げています」
「パラオの船です」
「間違いなく」
「パラオか、それは多分な」 
 ハウオファはその国だと聞いて言った。
「パラオの星のモン、モレイやな」
「あの方ですか」
「ご自身が来られたのですか」
「そうなのですか」
「おそらくな、話し合いに来たか」
 ハウオファはすぐにこのことを察した。
「あちらも」
「ハウフオァ様と同じお考えですか、その方も」
「戦よりも話し合いだと」
「そうお考えですか」
「多分な、話し合いやと話すし」
 こちらもというのだ。
「若しおらと闘うんやったら」
「その時はですね」
「受けて立たれますか」
「そうされますか」
「そうしてな」
 そしてというのだ。
「勝つか負けるかやが」
「それで決めますか」
「配下になるかどうか」
「その時は」
「よくある話やがな」
 この世界でもというのだ。
「勝った方が負けた方を従えるのは」
「まあそうですね」
「モンスターや獣の世界でもそうですし」
「人の世界でもです」
「裏の世界だと特に」
「そや、しかしな」
 それでもとだ、ハウオファは廟の中で周りに話した。 
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