| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百九十話 南の諸島においてその二

「生活の糧としてです」
「そうして暮らしておられますか」
「そうしています、ですが」
「ご自身が星の方とはですか」
「名乗って何かをすることは」 
 そうしたことはというのだ。
「思わず」
「ここで暮らしておられましたか」
「左様です、それでなのですか」
「はい、貴方が星の方なら」
 毛人は羊羹を食べながら話した。
「是非この世界を救って欲しいのです」
「この世界に訪れる危機を」
「そして乱れた世を」
「このパラオは比較的穏やかと見受けますが」
 モレイは茶を飲みつつ話した。
「争いもなく」
「それでもです、多くの勢力に別れポリネシアやミクロネシアの諸島も然りで」
「それで、ですか」
「争いが起こっているのは事実で」
 その諸勢力の間でというのだ。
「ここは星の方に一つにして欲しいのです」
「それで平和にですか」
「して頂きたいのです」
 モレイに対して謙虚な声で話した。
「どうか」
「それで立って欲しいのですか」
「はい、この島の酋長のお願いで」
「それで貴方が来られたのですか」
「私はその酋長の傍にいる者の一人です」
 つまり側近だというのだ。
「酋長に言われてここに参上した次第です」
「左様ですか、それがしも立たねばと思っていましたが」
「それでもですか」
「前に出ない性分で」 
 その為にというのだ。
「ここにいましたが。時が来たのですね」
「立たれる時が」
「そう感じました、では」
「このお家を出られて」
「はい、働かせて頂きます」
 モレイは毛人に答えた。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
「はい、酋長さんのところに案内して下さい」
 毛人に実直な声で答えた。
「これより」
「わかりました」
 毛人は明るい声で応えた、そうしてだった。
 モレイは今住んでいる家を出てそのうえで酋長の屋敷に出た、酋長は魚人アカベラの頭の者だがその彼が言った。
「どうかこれよりです」
「このパラオを、そして世界をですか」
「お救い下さい、貴方ならです」
 酋長はモレイに話した。
「出来ます」
「星の者だからこそ」
「それだけのお力がありそれが使命ですね」
「はい、そう言われました」
 声にとだ、モレイは酋長に答えた。彼は正座だが酋長とその後ろにいる者達はパラオ式に普通に座っている。
「それがしも」
「ではこれを機にして」
「どうして動くべきかわかりませんでした」
 モレイは酋長に畏まって答えた。
「この世界に来ても」
「どうして世界を救うべきか」
「一旗挙げるか」
 それかというのだ。
「冒険の旅に出るか」
「どうすべきかが」
「わかりませんでした、それでです」
 その為にというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧