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夢幻水滸伝

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第百九十話 南の諸島においてその一

                第百九十話  南の諸島において
 クレオ=モレイはこの時剣術の稽古に励んでいた、素振りをしてそれから打ち稽古のそれを行う。その彼にだった。
 パラオの者、毛人の若い男が言ってきた。
「あの、貴方がですね」
「それがしに何か用でしょうか」
「噂では星の方とのことですが」
 モレイにこのことを聞くのだった。
「それは本当でしょうか」
「はい、そうですが」
 モレイは毛人に即座に答えた、それも明朗に。
「それがしは人奴星の者です」
「やはりそうですか」
「この世界に来た時に声に言われました」
 心の中で何者かにだ。
「神の声と思われますが」
「そうですか、ではです」
 毛人は彼の言葉を聞いてこう返した。
「お願いがあるのですが宜しいでしょうか」
「はい、何でしょうか」
「詳しいお話をしたいので」
 それでとだ、毛人はさらに言った。
「ここで立ち話も何なので」
「そうですか、では」 
 モレイは毛人の話を聞いてだった。
 傍にあった自分の家、丁度そこにあって誰もいない空き家だったので掃除をしてからそこで一人暮らしをしている江戸時代の日本の家を思わせるその家を見て応えた。
「あちらでお茶を飲みながら」
「そのうえで、ですね」
「お話をしませんか」
「それでは」  
 毛人も頷いてだった。
 二人はモレイの家の中で話すことにした、モレイは居間で自分が入れたお茶、緑茶を出してそうしてだった。
 羊羹も出してだ、それぞれの座布団の上で正座をして話した。
「それでお話は」
「はい、今この世界そしてパラオの諸島もです」
 毛人はお茶を飲みつつモレイに話した。
「乱れていますので」
「星の者は世界を救う者なので」
「一つ立って頂けるでしょうか」
 モレイの目を見て言うのだった。
「そうして頂けるでしょうか」
「そうですか、実はです」
「実はといいますと」
「それがしも何とかと思っていましたが」
「この世界を救いたい」
「その為にこの世界に来たのですから」
 だからだというのだ。
「それでと思っていましたが」
「それでもですか」
「この世界に来てからずっとここにいてです」
「何かをするにもですか」
「機会がなく」
 それでというのだ。
「それがしはどうも自分から前に前にという性格ではないので」
「そうなのですか」
「はい、目立とうとはです」
 その様にはというのだ。
「これといってです」
「思われないですか」
「学問や鍛錬はしますが」
 それでもというのだ。
「これは自分一人でも出来るので」
「それで、ですか」
「こうしてです」
「今も励んでおられましたか」
「この世界に来て一月ですが」 
 それだけ経つがというのだ。
「そうしてです」
「剣術の鍛錬に学問に」
「そして銭はモンスターを退治して手に入れ」
 そしてというのだ。 
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