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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百五話 イルミネーションその六

「そうしたしね」
「そんな人が置き土産になるところだったの」
「あんまりにも尊大で何もしなくて恩知らずで不平不満ばかり言うからね」
「皆から愛想尽かされたのね」
「だからその人が亡くなったら」
 その後すぐにだ。
「死ぬ間際に息子さん頼むって言ってたけれど」
「誰も聞かなかったのね」
「そうだったんだ」
「聞いたら大変なことになっていたわね」
「置き土産としてね」
 それでだ。
「とんでもない迷惑になっていたよ」
「不良債権よね」
「その人の親戚にとってね」
「そうよね」
「働かないだけじゃなくて」 
 ずっと奥さんに食べさせてもらっていた、別に芸術活動だのをしているんじゃなくて正真正銘の所謂ヒモだった。
「偉そうに言って人の家で平気でご飯ガツガツ食べてお風呂に入っていいお布団で寝てね」
「感謝しない人だったの」
「お世話になった人の不満言ったりね」
「その人も酷いわね」
「本貸しても偉そうに言うし」
 その本の批評をだ。
「面白いとか言わないで食べものもね」
「ガツガツ食べて」
「折角作っても甘いとか辛いとかね」
「褒めなかったのね」
「それで自分はお料理もしないし」
 もっと言えば出来なかった。
「何も出来ないのに尊大でね」
「甘やかされていたからよね」
「うん、自分がこの世で一番偉いってね」
「思っていたの」
「何が偉いかわからないけれど」
 それもさっぱりだ。
「そう思っていたんだ」
「そんな人だったの」
「だから母親共々嫌われていて」
「見捨てられたの」
「それで今はね」
 仕事もしていないつまり生計も立てられなくてだ。
「行方不明だよ」
「もう亡くなってるとか」
「そうかもね」
 僕は香織さんに首を傾げさせて言った。
「それでもその人の親戚の人達もね」
「どうでもいいって感じなの」
「というか死んでいて欲しいってね」
「思ってるのね」
「そうみたいだよ」
「かなり嫌われてるのね」
「そうだね、不平不満ばかり言ってると」
 そうしているとだ。
「こうした人達みたいになるって思ったら」
「言えないわね」
「この人達みたいになったら」
 もうそれこそだ。
「生きていても仕方ないからね」
「いい人生じゃないわね」
「うん、不平不満を言わないで」
「満足することね」
「それが大事だよ、というか楽しめたらね」
 自分自身がだ。
「いいんじゃないかな」
「そうなるわね」
「十人十色だから」
 楽しみ方にしてもだ。
「だからね」
「クリスマスはそれぞれの楽しみ方があるのね」
「ワイン飲んで鶏肉とケーキ食べて満足する人もいるから」
 お腹一杯そうしてだ。
「もうそれならそれでね」
「いいってことね」
「そんなクルシミマスとかね」
「苦しい駄洒落ね」
「そんなこと言わなくても」
 それでもだと本当に思う。 
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