夢幻水滸伝
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第百八十八話 西岸に着いてその十三
「私達はです」
「広い心を持ってやな」
「ことに当たりましょう」
「そういうことやな」
「はい、では今は」
「どんどん食べようか」
こう言ってだった。
シェリルは実際にダーガーと共に料理を食べていった、メインの羊のステーキ林檎ソースをかけたそれを食べてだった。
シェリルはダーガーにこんなことを言った。
「マトンのこの匂いがな」
「ええですね」
「食欲をそそるわ」
「なおさら」
「それがな」
シェリルは食べつつこうも言った。
「日本やとな」
「はい、どうもこの匂いがです」
「あかんっていうな」
「日本人の多くが」
「この匂いに食欲をそそられんとかな」
「わかりませんね」
「そのせいか日本では羊自体がマイナーや」
その肉はというのだ。
「こんなに美味しいのに」
「残念なことですね」
「ただ味や匂いだけがええんちゃう」
羊肉、ここではマトンであるそれはだ。
「安いしな」
「日本でもかなり安いですね」
「それに栄養もある」
「高タンパク低カロリーで」
「しかも脂肪を燃やしてくれる」
身体のそれをだ。
「そんなにええお肉やのにな」
「日本ではあまり食べないですね」
「これがな」
「残念なことです」
「ほんまにな」
「中国でも羊のお肉はご馳走でした」
春秋時代では最高級に肉とされていた、『美』という文字はその中に羊がある通りにその肉が最高級の馳走だったからこそ出来た言葉だ。
「そこまでのものでした」
「羊頭を掲げて狗肉を売るってな」
「そんな言葉もありますね」
「まあ今では中国でも犬はあまり食べんな」
「犬は美味しいのでしょうか」
「まずくはないらしいけれどな」
オーストラリアでは犬は食べないのでシェリルもその味は知らない。
「まあディンゴみたいな味が」
「ディンゴですか」
「あれも犬やしな」
この世界のオーストラリアにも棲息している、元はアボリジニーがこの大陸に移住してきた際に連れて来た犬である。
「あれとな」
「同じ様な味ですか」
「そやろな、私ディンゴの味は知ってるわ」
「それでまずくはない」
「けどそんなに取り立てて美味しくはな」
マトンを食べながら話した。
「ないで」
「そうですか」
「これ蛇やカンガルー、それに鰐もやけどな」
「やはりマトンの方が美味しいですか」
「そや、というか自分鰐は食べたことないか?」
「鶏肉ですね」
その味はとだ、ダーガーは笑って答えた。
「匂いのする」
「まさにそれやな」
「美味しいですが」
「やっぱり取り立てて食べるまではないな」
「昔日本に鰐肉を好きな野球選手がいたそうですが」
ヤクルトそして阪神で活躍したパリッシュである、阪神の現役生活末期に謎の引退をしてタイトルを逃している。
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