八条学園騒動記
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第六百一話 朝ご飯はその二
「だからね」
「手で食えてもな」
「手軽かっていうと」
これは財布の問題でだ。
「そうじゃないのよね」
「そうなんだよな」
「美味しいけれどね」
「手で持って食えてな」
「それでも手軽かっていうと」
「違うからな」
「そう、けれどお握りは」
今から食べるこの食べものはというのだ。
「もう庶民的で」
「値段もな」
「だから手軽にね」
「朝も食えるな」
「もう朝ご飯に出たら」
それならというのだ。
「すぐに食べられるわ」
「そうだな、じゃあ今から食うか」
そのお握りをとだ、テンボは言ってだった。
ジャッキーと二人でそれに二人の相棒であるオオウミガラスのマーフィと共に朝ご飯を食べはじめた。その中で。
テンボは最初のお握りを食べて言った。
「中は梅干しか」
「私の方は昆布だったわ」
ジャッキーも言った。
「それだったわ」
「そっちは昆布か」
「ええ、けれど私としてはね」
ジャッキーはその昆布を食べつつ言った。
「梅干しがね」
「一番好きか」
「ええ、お握りの具はね」
「俺もそうだな、しかしな」
「しかし?」
「昆布も好きだ」
今ジャッキーが食べているその具もというのだ。
「そちらもな」
「そうなの」
「ああ、お前はどうか知らないがな」
「私も昆布好きよ」
「そうか」
「お握りの具で嫌いなのないから」
こうも言うのだった。
「だからね」
「特に嫌でもないか」
「けれど一番好きなのはね」
あくまでというのだ。
「梅干しよ」
「それか」
「梅干しのあの酸っぱさがね」
梅干し独特のそれがというのだ。
「本当にね」
「好きか」
「ええ、お握りにはこれでしょ」
梅干しの酸っぱさだというのだ。
「普通に食べてもいいし」
「梅干しはそうだな」
「お酒にも合うっていうわね」
ジャッキーはお漬けものの中にある梅干しに箸をやりつつ言った。
「そうよね」
「よく言われるな」
「日本酒にね」
「実際そうなのか」
「あたしやったことないからね」
「やるならこれからか」
「これがあっさりしてね」
梅干しを肴に酒を飲むことはというのだ。
「いいみたいよ」
「そうなのか」
「だからね」
それでとだ、ジャッキーはさらに話した。
「今度ね」
「やってみるか」
「そう思ってるわ」
「それならな」
テンボは味噌汁を飲みつつ応えた、若布と豆腐の味噌汁だ。味噌の味が実に生きていてかなり美味い。
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