八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六百話 やはりこれが一番その八
「口の中全体か」
「だから昔未開の人が歯を磨いたらな」
ダンは昔の話もした。
「病気が治ったとか元気になったとかな」
「そうした話もあったのか」
「歯磨き粉を使ってな」
「歯磨き粉が口の中を消毒したらか」
「一気に元気になった」
「口の中の雑菌も怖いか」
「これがな」
何でもない様でというのだ。
「実はそうだ」
「そうなんだな」
「だからな」
「歯を磨くことはいいことか」
「虫歯にもならないしな」
「虫歯な」
虫歯と聞いてだ、洪童は顔を顰めさせて言った。
「あれはな」
「なったことがあったか」
「子供の頃な、なってすぐな」
「病院に行ったか」
「それで治したけれどな」
「痛かったか」
「いや、痛む前に治療して」
そうしてというのだ。
「そうはならなかったさ」
「それはよかったな」
「けれどあの雰囲気が」
歯科医院のそれがというのだ。
「あまり好きになれなかった」
「ああ、歯医者さんはな」
ダンもその話を聞いて頷いた。
「あの雰囲気はな」
「好きになれないな」
「俺もな」
こう洪童に答えた、微妙な顔になって。
「歯を抜いたことがあった、乳歯だがな」
「子供の頃か」
「その時抜きに行ったが」
歯医者に行ってだ、勿論琉球王国にいた時のことだ。
「あの雰囲気はな」
「お前も嫌だったか」
「どうもな」
「痛くなくてもな」
「そんな感じがするな」
「どうしてもな」
「あれは不思議だな」
歯医者のその雰囲気はというのだ。
「暗くてな」
「痛そうでな」
「悲鳴が聞こえる様な」
「そうした雰囲気だな」
「ただ入っただけなのにな」
「そうした感じになるが」
「あれが不思議だ」
二人でこう話した、そしてだった。
洪童は真摯な顔でダンに話した。
「三食後磨くか」
「寝る前だけじゃなくてか」
「晩飯食った後に磨いて」
そしてというのだ。
「そのうえで」
「寝るといいんだ」
「歯にはか」
「多分一番な」
「そうなんだな」
「例え何も食っていなくてもな」
それでもというのだ。
「雑菌はな」
「口の中で増えるんだな」
「だから歯磨きはな」
どうしてもというのだ。
「必要なんだよ」
「そうなんだな」
「お風呂と同じだ」
ダンはこうも言った。
ページ上へ戻る